持続可能な地方創生を実現する、地域特性を活かしたまちづくり事例5選

持続可能な地方創生を実現する、地域特性を活かしたまちづくり事例5選

新型コロナウイルスの蔓延により、都市の脆弱性が可視化されたことや、テレワークが増え都市に住む必要性が薄くなったことにより、地方創生がますます注目される流れが生まれています。今回は、IDEAS FOR GOODで取り上げた5つの事例を紹介するとともに、サステナブルな地方創生の方法について考えていきます。

目次

1.地方創生のトレンドとは?今必要とされている、サステナブルなまちづくり

東京都の人口はこれまで年々増加し続けており、2020年6月時点では1400万人と、日本の全人口の1割以上に昇りました。これは世界の都市と比べても非常に高い数値と言えます。

東京一極集中は大規模な自然災害の際のリスク面を高めたり、都市は出生率が低いため人口の減少につながったりします。また、地方の衰退は自然環境の荒廃、古くからある文化の喪失などを招き経済全体へ大きな影響を及ぼすため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」として国は2014年から政策の中で地方創生を進めています。

政策の第二期が開始された今年は新型コロナウイルスの蔓延により、都市ならではの脆弱性がさらに可視化されることとなりました。地方では、コロナ禍での観光客の減少や度重なる自然災害もあり、地域を持続可能にするために地域経済の活性化や関係人口の創出などを検討することは、これまで以上に必要になると考えられます。

一方でテレワークの導入が進んだことにより、場所を選ばずに仕事ができるようになった人は増加しました。この流れは一過性のものではなく、今後もある程度定着していくと考えられるため、地方への移住や多拠点居住、ワーケーションなどを求める人も多いのではないでしょうか?また、働く人のニーズに合わせ、地方でのビジネスチャンスを探している企業や自治体も多いと思います。

このような流れに対して、地域をどう変革させていくかを考える際に必要なことは、地域に根付いた文化や特性をいかに引き出して、その地域ならではの街にしていくかということです。

そこで今回は、地域特性を活かしたサステナブルなまちづくりの事例をご紹介していきます。

2.地方創生×サステナビリティの事例5選

2-1.古民家×「本物」と出会えるセレクトショップ


「はかり屋」は、解体寸前だった埼玉県越谷市の旧日光街道沿いの古民家を活用した複合施設です。食や癒し、インテリアなど6つのこだわりのショップやレストランを楽しむことができ、この場所が中心となってマルシェや四季折々のイベントが開催されています。高齢化が進んだシャッター街に人が集まるようになり、地域の伝統と現代の感性が融合した新しい文化が誕生しています。

2-2.マルシェ×地域ぐるみのフードロス削減


「福ごはんプロジェクト」は、東京都中央区の浜町で開催される「浜町マルシェ」で売れ残った食材を買い取り、再び活用する取り組みです。売れ残った食材を再販売する「福ごはん販売」、売れ残り品で近隣の飲食店が特別メニューを提供する「福ごはん料理」、売れ残ったフルーツを浮かべた果実風呂を老舗の銭湯が提供する「福ごはんの湯」を実施し、地域のフードロス問題に賢くアプローチしています。

2-3.サーフィンの街×ショートパンツ専門ブランド


「Short pants every day」は、サーフィンの街である宮崎県発の男性のショートパンツ特化ブランドです。宮崎の気候やマリンスポーツの需要に合わせたアイテムで地域経済に貢献し、地元の人がそのルーツに誇りを持てるようなブランディングをしています。インスタグラムを中心としたSNSでは、スタイリッシュな地方創生の在り方を見ることができます。

2-4.お遍路宿×地域の防災拠点


過去20年以上にわたり人口減少が続いている徳島県は、地域活性に向けた観光政策や関係人口づくりの一環として、さまざまな民泊を展開しています。平時は宿泊施設に、災害時には避難所になる「シームレス民泊」をはじめ、地元の農業文化を存分に味わえる「農家民宿」、阿波おどり期間中に合わせた「イベント民泊」など、多彩な取り組みがあります。

2-5.過疎地域×ゼロ・ウェイストなまちづくり


2003年に国内初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表した徳島県の上勝町は、2020年までにごみをゼロにする目標を掲げさまざまな取り組みを行っています。ごみステーションを地域のコミュニティスペースとして活用したり、地域を潤すための飲食店に向けたゼロ・ウェイスト認証制度があったりと、町全体にごみを出さないアイデアが溢れています。

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3.事例から学ぶ、地域特性を活かしたまちづくりのポイント

ここでは、事例をもとに地域特性を活かしたまちづくりのポイントを整理します。

3-1.コミュニケーションが生まれる仕組みをつくる

地域に関わる人同士の継続的なコミュニケーションの場や横のつながりは、資源の循環や地域経済の活性化に不可欠です。上記で紹介した上勝町のゴミステーションは住民が来たくなるような場所となっており、それによって資源循環の協力体制が築かれていました。また福ごはんプロジェクトは、関わる人の新たなつながりを生み出し、フードロスの削減を実現していました。コミュニケーションによってつくられる信頼関係が地域に新たなイノベーションや有事の時の助け合いを生み、持続可能なまちを作っていきます。

3-2.その土地ならではの特色に付加価値をつける

どの地域にも、気候や歴史、特色などにおいて他とは違ったユニークなところがあるはずです。また時には廃棄されるはずだった資源や利用されずに眠っていた資産が、新たな価値を生み出す可能性を秘めているかもしれません。上記で紹介した「はかり屋」は、その地域にもともとあった歴史ある古民家という財産を現代の人が集まる場所として生まれ変わらせ、新たな価値を生み出しました。宮崎県のショートパンツブランドは気候の特色に合わせてオリジナルな商品を作り、地域のブランド力を上げています。今あるものに目を向け、発掘されていなかった価値を見つけ出し活かすことが、地域に関わる新たな人の流れを生み出します。

3-3.住民、企業、行政との密なコミュニケーション

災害時の対策や、まち全体での資源循環などの大きなアクションを起こすためには、制度や金銭的な面で行政のバックアップが必要となります。上記で挙げた徳島県のシームレス民泊は、災害時には民泊施設の宿泊代を行政側が負担する制度となっているため、住民は無料で宿泊でき、施設側にもデメリットが生まれない仕組みとなっています。また同じく徳島県の上勝町は、まち全体の資源循環を行政が中心となって行っていました。行政と企業、住民が一丸となって地域の課題に取り組むことで、大規模なプロジェクトの実行を可能にします。

持続可能な地域づくりのアイデアをもっと知るには?

いかがでしたでしょうか。アフターコロナの持続可能な国や経済の構築には、クリエイティブな地方の活性化が必要です。地域創生はある特定の地域だけが取り組めば良い問題ではなく、私たち全員に関わる課題なのです。

感染症がもたらした働き方の変化により、都会に住んでいる人でもワーケーションの利用や副業を通して関係人口となるなど、地方への関わり方の選択肢は増えました。コロナ禍で解決すべき問題がたくさんあると同時にビジネスチャンスも多いこの機会に、地方創生に目を向けてみてはいかがでしょうか?

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