【SDGs目標4】年齢や貧富に関係なく、すべての人に質の高い教育を。世界の事例まとめ

【SDGs目標4】年齢や貧富に関係なく、すべての人に質の高い教育を。世界の事例まとめ

SDGs目標4では、すべての人に教育を届けることが定められており、「すべて」には途上国だけでなく先進国を含むすべての国が含まれています。また、子供のための教育だけでなく、人々がよりよく生きていくための教育を対象とするため、たとえば大人のための生涯学習も対象となっています。今回は、さまざまな人に向けた、質の高い教育を届ける事例をご紹介します。

目次

1. SDGsが目指す教育の姿

SDGs目標4では、「すべての人々への、包括的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことが掲げられています。

1-1. 質の高い教育を、世界中のすべての子どもに行き渡らせる

国連児童基金(UNICEF)が2018年に発表した報告書「盗まれた将来:学校に通っていない子どもたち」によると、世界で学校に通っていない子供(5~17歳)は3億人以上、そのうち1億400万人は紛争や自然災害の影響を受けやすい国に暮らしています。紛争や自然災害の影響を受けると、その地で暮らす子供達にとって主に2つの影響があります。まず、学校が破壊されたことによって学校に通えなくなります。そして学校に通えない状態が続いてしまうと復学が困難となり、したがって定職に就くことも難しく、貧困の連鎖が続いてしまいます。

子供たちが質の高い教育を受けることができれば、貧困の連鎖を断ち切ることができ(SDGs目標1)、不平等の是正(SDGs目標10)とジェンダーの平等達成(SDGs目標5)に貢献します。また、教育を通して健康に関する正しい知識が得られれば、より健康で持続可能な生活を送る(SDGs目標3)ことができるようになります。「質の高い教育」はSDGsを達成するための要といっても過言ではありません。

1-2. 生涯にわたって学び続けられる環境をつくる

SDGs目標4が定める「教育」は、広範囲にわたります。たとえば、SDGs目標4のターゲット4.3に「2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手頃な価格での質の高い技術教育、職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。」とあります。

近年、人生100年時代における「学び直し」が注目を集めています。リカレント教育(キャリアアップなど、仕事に活かすことを前提とした学び)を通してキャリアアップを図ることができたり、生涯学習(キャリアアップに直結しないものの、より豊かな人生を送るための学び)を通してよりいきいきと毎日を過ごすことができたりします。こういった「学び直し」のための機会や環境づくりも、SDGs目標4の「教育」に含まれるのではないでしょうか。

1-3. 持続可能な社会のための教育を推進する

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は「人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、現代社会における様々な(地球規模の)問題を各人が自らの問題として主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらす」、持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development:ESD)を提唱しています。SDGsの考え方を子供達にも理解してもらい、持続可能な社会づくりの担い手を育てようと、世界の教育の現場で取り入れられています。

2. 「質の高い教育をみんなに」の事例4選

本章では、SDGsの目標4を達成するための事例をご紹介します。

2-1. 世界唯一の教育に特化した国際基金「Global Partnership for Education」

2002年に世界銀行が主導して設置した、世界で唯一の教育特化の国際基金「Global Partnership for Education(GPE)」。「すべての人が質の高い教育を受けられる世界」の実現に向け、主に先進国から資金を集め、発展途上国の教育を支援しており、日本はこれまでに約32億円を拠出しました。この基金はパートナーシップとしての機能を有し、一方的に資金を供給するのではなく、各国のマルチステークホルダーと力を合わせて課題解決に取り組むことが大きな特徴です。活動開始から2019年までの17年間で、以下の成果を上げました。

  • 支援国において、小学校に通う子どもが7700万人増加
  • 支援国の子どもたちの77%が小学校を卒業(2016年)(2002年時点では63%)
  • 男子生徒と同数以上の女子生徒が小学校を卒業した国が、支援国の67%に達した(2016年)(2002年時点では42%)

最初からすべての資金を途上国に供給するのではなく、資金の30%はあらかじめ設定した目標が達成した場合にのみ支払われるため、目標の達成率が高くなっています。支援国では徐々に教育は普及してきており、現在は教育の質の向上、就学前教育が支援の重点項目になっています。

2-2. すべての人に学ぶ機会とつながりの場を提供する、本のサーキュラープラットフォーム

大学の授業などで使われるテキストなどの書籍は比較的高額であるため、本当は勉強したいのにテキストが買えないから学ぶことを諦める生徒がいる一方、テキストは購入できるものの大学を卒業したり、授業を履修し終えたりすると、テキストを読まなくなる生徒も少なからずいます。そこで、「これまでテキストを買えなかった学生たちも含め、すべての人が手頃な価格で必要な本を手に入れることができるようにしたい」との想いからフランスの社会起業家が立ち上げたのは、学生向け古本売買プラットフォーム「Swapbook」。売り手は10%の手数料で不要な本を出品、買い手は手頃な価格で本を購入できます。また、学校での生徒間のネットワーク構築をサポートしているのも大きな特徴で、ソーシャル機能を利用して、おすすめの本を紹介しあったり授業や学校生活へのアドバイスを求めたりすることができます。

2-3. まち全体をキャンパスにする「テンジン大学」

転勤や短期移住者が多く住み、人の入れ替わりが激しい福岡。住みやすさに定評はあるものの、それはあくまで消費者目線であり、「まちのつくり手」が少ないことが課題となっています。まちは消費されると廃れていくため、犯罪発生率の増加やマナーの悪さが目立ち、治安が悪化していきます。「まちを活性化するには消費と生産のバランスが大事」と訴えるのは、福岡市に拠点を置くNPO法人・テンジン大学学長の岩永氏。市民同士のつながりが希薄であるという福岡の課題に向き合うべく、「学び」を通じて地域で暮らす人々の「つながり」づくりに取り組んでいます。毎月第4土曜日を「福岡テンジン大学の日」と定め、街の各所で授業を開催します。市民が自由に教え合い、学ぶコミュニティを作り、新たに福岡にやってきた人々が「ただ街を消費していく人」から「まちのつくり手」になることが狙いです。

2-4. アメリカ・マイアミに開校した、ウェルビーイングを教える小学校

産業革命と科学の発展により、人類は物質的な側面においては豊かになった一方、精神的に満たされず、その結果が自殺率の増加傾向に現れています。ウェルビーイング(人が身体的・精神的・社会的に良好な状態)という幸福の尺度が見直される中、米国のマイアミでは、ウェルビーイングを教える小学校セントネル・アカデミーが開校されました。生徒たちの1日は瞑想から始まり、自分自身と向き合うスキルを身につけるほか、感情と思考を効率よく使う方法や、新しい挑戦を恐れない強い心の作り方など、「良い人間性」を養うための授業が設けられています。特徴的なのは、英語・中国語・スペイン語の3カ国語で授業が行われていること。マルチリンガルな環境下においては「クリエイティブで共感性が高く、他文化への好奇心が強い性格が育まれる」という科学的な根拠に基づいています。

3. 教育でSDGsに貢献するためのポイントとは?

「教育」と一口に言っても、学校教育や生涯学習、SDGsを理解するための教育など、さまざまな切り口があります。共通するのは、人々がより良く生きるため、地球がより持続可能なあり方をするための教育がSDGs目標4に結び付いており、SDGs目標4は途上国のための教育の指標だけではないということです。学校を「よりよく生きるためのハブ」として捉えて、その周辺の人々・地域がよりよくなるためにどうつながり、共創していくかを考えてみてはいかがでしょうか。

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