【SDGs目標3】すべての人の健康と福祉をかなえる企業のユニークな先進事例とは?

【SDGs目標3】すべての人の健康と福祉をかなえる企業のユニークな先進事例とは?

SDGsの目標3に定められている「すべての人に健康と福祉を」。先進国を含むすべての人々に健康や福祉を提供するために、企業はどう取り組めば良いのでしょうか。実際の事例を交えながら、ご紹介します。

目次

1.「SDGs3:すべての人に健康と福祉を」とは?

SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)は、「誰ひとり取り残さない」という共通理念のもと、17の目標とそれを達成するための169のターゲット(より具体的な目標)を設定しています。17の目標のうち、3番目に規定されているのが「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」という目標です。

1990年以来、1日あたりの子供(5歳未満)の死者は2万人減少したものの、毎年500万人を超える子供が5歳の誕生日を迎える前に亡くなっています。また、開発途上地域では、推奨される医療を受けられる女性は全体の半分にすぎません。これらの問題を解決するには、治療、教育、予防接種キャンペーンなどのアプローチを通して、すべての人が健康でいられるよう、医療を普及させていく必要があります。

では、SDGsの目標3は、医療が比較的普及している先進国にとって関係のないものでしょうか。

前述の通り、SDGsは「誰ひとり取り残さない」ことを共通理念に掲げており、先進国に住む人々も当然含まれます。日本は医療制度が整っており、病気にかかると比較的安価な料金で治療を受けることができます(保険適用の場合)。一方、うつ病などの精神的疾患を抱える人の多さや自殺率の高さが問題となっており、こういった問題を野放しにしていては、「すべての人々の健康的な生活を確保している」とはいえません。また、障がい者など、社会的弱者にとって生活しづらい社会であることも、「すべての人々の健康的な生活を確保している」とはいえません。

人々が身体的にも精神的にも健康であることは、健全な経済を支える基盤ともなり得るため、企業が自社の従業員やその家族の健康を守り、維持することが重要です。その他にも、企業が障がい者も含めて商品のターゲットとし、障がい者を含めた全ての人々にとって使いやすい商品を開発すれば、同業他社との差別化が図れ、マーケットも広がります。また、そういった商品を開発・販売することで、企業が事業活動を通して解決したい課題やパーパスをより強く社内外に伝えることができます。SDGsの目標3に対して、企業はさまざまな角度から取り組む必要があるのです。

2.事例から学ぶ、健康と福祉を提供するユニークなアプローチ

本章では、人々に健康と福祉を提供する、ユニークな事例をご紹介します。

2-1.静かな環境で買い物ができる工夫

自閉症の人が持つ傾向の一つに感覚過敏があり、店内に流れる音楽や明るいライトが強すぎる刺激となりストレスや恐怖を感じてしまい、買い物に行くのが困難な人もいます。そこで、オーストラリアのスーパーマーケットColesは、自閉症の人のサポートを行う非営利組織Autism Spectrum Australiaと協力し、強い刺激を受けずに買い物ができる時間帯を設定。Quiet Hourと呼ばれるこの時間帯は、店内のラジオのボリュームを最小にしたり、明かりを減光したりと、スーパーの利用者が静かな環境で過ごせる工夫がされています。

2-2.便利さを手放して、より人間らしく

便利さを手放す代わりに、生活をより身軽(Light)にしようというコンセプトのもと生まれたのが「The Light Phone」。通話に特化し、インターネット接続ができない携帯電話です。単体でも使用できますが、開発者は「2台目の電話」という使い方を提唱しているため、メインの電話と同じ番号を使うことができます。携帯電話を介して様々な情報に触れられるため、依存状態に陥りがちですが、状況に応じて電話を持ち変えることで、携帯電話に依存しない、人間らしい生活を取り戻すことが目的です。

2-3.ありのままの人の美しさを魅せる

パーソナルビューティーケアブランドの「ダヴ(Dove)」は、自社のすべての広告に“画像加工をしていないことを宣言するマーク”を導入することを発表しました。マークの入った広告は、髪に人工的な艶を与えたり、毛穴を消したり、体型を修正したりする加工は行われていません。多くの女性が広告や雑誌に登場する“完璧な”女性と自分を比較し、外見への自信を失ってしまうという問題があります。ダヴは、すべての女性が自分の美しさに気づき、自信に満ち溢れて生きられる世界を築くことをブランドミッションとして掲げており、画像加工をしていない広告を通して「ありのままのあなたこそ、美しい。」というメッセージを発信しています。

2-4.「誰もが」使いやすい家具に

イケア・イスラエル(IKEA Israel)は、非営利団体のMilbat、Access Israelと協同で「ThisAbles」プロジェクトを始動し、障がい者にとっても使いやすい家具用アタッチメントを製作しました。手先が麻痺して思うように動かせない障がい者にとって、デスクランプの小さなスイッチを押したり、戸棚の取っ手に指をひっかけたりする行為が難しく、不便に感じます。そこで、広い面でスイッチを押せるようにする「MEGA SWITCH」、戸棚の扉を肘で開けられるようにする「EASY HANDLE」など、既存の家具に簡単に取り付けることで使いやすくしました。

2-5.現代奴隷撲滅に向けた研修

イギリスの大手ホテルグループShiva Hotelsが、現代奴隷の撲滅のため、従業員向けのトレーニングプログラムを開始しました。ホテルはゲストに密室空間を提供するという性質上、長らく性犯罪の温床となってきました。そこで、プログラムを受けることによって、現代奴隷の可能性を秘めるゲストの行動事例を紹介し、該当する者がいないかどうかを察知できるようになるのが目的です。同社はホテル業界向けの無料のリソースハブとウェブサイトを開設するなど、ホテル産業に関わる全ての人々にこの問題への責任があるという意識を持たせることを目指しています。

3.SDGs目標3を達成するポイント

ここでは、企業がSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を達成するためのポイントをまとめました。

3-1.想定ユーザーの抱える課題を知る

Shiva Hotelsの事例のように、サービスのユーザーが抱え得る課題についてインプットを重ねて理解を深め、さらに社内の中でプログラム化して周知につとめるといったアプローチもありました。想定ユーザーが社会的マイノリティである可能性も加味しながらその対応策を吟味することで、そのサービスや、サービスの根本にある想いを多くの人に伝えることができます。

3-2. より多くの人に使ってもらうための施策を考える

商品やサービスを開発する際、健常者が使用することのみを想定して開発するのではなく、「より多くの人に心地よく使ってもらうためにはどうすれば良いか」を考え、多様な背景を持つ人々に開発段階から携わってもらい、そのフィードバックを活かすことが大切です。また、自社の既存の商品であっても、どのように工夫すればより多くの人に使ってもらえるかを見つめ直すことも有効です。

3-3. 当事者やNPOとの共創

イケア・イスラエルの事例では、非営利団体のMilbatやAccess Israelと共創し、共同プロジェクトを立ち上げることで問題の解決に取り組みました。実際に問題を感じている当事者と一緒に製品を開発することで、自社だけでは生まれない、革新的なアイデアが出てくるかもしれません。

4.自社に合った方法でSDGs目標3を達成するには?

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