企業のパーパスを伝える。ソーシャルグッドな企業のコーポレートコミュニケーション事例とは?

企業のパーパスを伝える。ソーシャルグッドな企業のコーポレートコミュニケーション事例とは?

近年、CSR(企業の社会的責任)活動に加え、企業の本質的な存在意義「パーパス」を問い、社会的なパーパスに基づいた活動が重視され始めています。企業のパーパスをどのように設計し、企業の活動に結びつけていくべきか、事例とともにご紹介します。

目次

1. パーパスとは?

1-1. ビジネスにおける「パーパス」

パーパス(Purpose)とは、一般的には目的、意図、目標、趣旨などと訳され、「何かが存在する理由、あるいは何かがなされる理由」といった意味を持ちます。ビジネスにおけるパーパスは、組織や企業の存在理由や存在意義、つまり「何のためにこの会社があり、何のために事業をするのか」を意味します。マーケティング用語の9P(Product、Performance、Position、Purpose、Potential、Price、Place、Promotion、Profit)のうちの一つで、企業が何のために何をしたいのかを明確にします。

ここでは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」との違いについて、以下の通りまとめました。

  • パーパス(目的) :何のために存在するのか、何のために事業を行うのかという存在意義
  • ミッション(任務):パーパスを達成するために、自分たちが行う物事の内容・戦略
  • ビジョン(展望) :ミッションの見通しや、将来こうありたいという姿
  • バリュー(価値) :上記により生みだされる価値

パーパスは、「将来何をしたいか」よりも、なぜ事業を行うのかという根拠になる部分をより広い見方、公に近い立場から述べたものです。

1-2. パーパスは人々の「共感」「幸福感」を生む

「稼げる本業」とは別に社会貢献活動を行うというのが、これまでの企業の取り組みでした。しかし、企業のパーパスが人々の「共感」を生むことが明らかになってきたため、本業そのものに社会的なパーパスがあるかどうかが問われるようになってきています。多くの人々が事業に共感するということは、パフォーマンスが高まり成果が出やすいだけでなく、働く人々の労働意欲が高まることも意味します。人々は、個人の価値観に合っているもの、そして社会的意義があることに幸福感を覚えやすいためです。

フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学での講演で「パーパスは、私たち一人ひとりが小さな自分以上の何かに関わっていると感じられる感覚のことです。パーパスが真の幸福感をつくるのです。」と述べています。

たとえば、大手企業のビニール袋工場の生産ラインで働いているとします。CSR部門では社会貢献活動も行っているようですが、社員としての自分はビニール袋を毎日生産し出荷しています。かたや、別の会社ではビニール袋の有用性をうまく使いながら環境負荷がかからない製品をつくるという目的を掲げ、水に溶けるビニール袋を生産しているとします。後者の方が、より多くの人から支持されることは想像に難くありません。このように、本業そのものに社会的パーパスを定め、それを社内外に明確に打ち出せているかが重要となってきます。

2. 事例から学ぶ、ソーシャルグッドなコミュニケーション事例

本章では、企業のパーパスを伝える、ソーシャルグッドな事例をご紹介します。

2-1. easyJetが向き合うジェンダー問題

easyJetが大ヒット映画「Catch Me If You Can」のパロディのキャンペーン動画を作成。天才詐欺師を演じるレオナルド・ディカプリオがパイロットに扮する名シーンに、easyJetの現役女性パイロット娘を起用し、客室乗務員役に少年たちを起用しました。easyJetによれば、将来の夢を考えるにあたり、幼少期に出会う人々やテレビ・映画の影響が極めて大きく、パイロットを志す女性の少なさにも関係しています。性別関係なく子供たちが就きたい職業を志せるよう、easyJetはキャンペーン動画の作成のほか、パイロットの学校訪問などを通して、空港の外でのパイロットとの関わりを増やしています。

2-2. リッツカールトンが提起する「当たり前」への疑問

リッツカールトン・シンガポールと、チャリティー団体Smile Asiaが共同で行ったのは、口唇・口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の子供たちへの理解を深める啓蒙キャンペーン。口唇・口蓋裂は、唇や上あごに割れ目が残って生まれてくる疾患で、500人に1人の割合で発症すると言われています。リッツカールトン・シンガポールでディナーを楽しむ人々に口唇・口蓋裂の子供たちが抱える「苦労」について知ってもらうため、テーブルの上のフォークやスプーンを、どれも一部を欠けさせることで食べにくいように設計し、提供しました。

2-3. Lacosteが訴える、動物保護

ワニのロゴマークで有名なファッションブランドLacosteは、地位や性別、文化による違いを超えて互いに認め合い、繋がりのある社会をつくることをパーパスとして掲げており、それを体現すべく、絶滅危惧種の動物を保護する活動を行う国際自然保護連合(IUCN)と提携。”Save Our Species”と題したプロジェクトの一環で、ポロシャツからLacosteのアイコンであるワニを消し、代わりに絶滅危惧種の動物のロゴを縫い付けました(全10種)。それぞれの動物が描かれているポロシャツを購入すると、それぞれの動物を保護するための活動費用になる仕組みになっています。

2-4. Vogueが発行した、写真のない雑誌

ファッション誌『Vogue』イタリア版では、「旅も、服の輸送も汚染もこれ以上いらない」をテーマに、写真の代わりにイラストを掲載した2020年1月号を発刊しました。ファッション誌に掲載する写真は写真家やスタッフの国内外への移動、服の輸送が不可欠であり、移動や輸送時に二酸化炭素を排出しますが、写真の代わりにイラストを用いることで排出を抑制しようとしています。この試みを通じて、これまでのファッション誌出版が与えてきた環境負荷を明らかにし、ファッション誌のサステナブルなあり方の議論を呼び起こす契機にする狙いがあります。

2-5. パンテーンが促す教師と生徒の対話

ヘアケアブランド・パンテーンは、あるCM広告を打ち出し、話題になりました。それは、髪染めに関する校則に関して、学校の先生が生徒から出された質問に回答するというもの。人種の多様化や「日本人の髪色は黒色である」という認識そのものに対して疑問を投げかけ、対立ではなく「対話」の必要性を訴えます。このCMが配信されて以降、SNSでも「理不尽な校則」や「教師の働き方」に対する議論が活発になりました。

3. 企業のパーパスを伝えるコミュニケーションのヒント

企業のパーパスを形にし、分かりやすく伝えるためのポイントをまとめました。

3-1. 自社のパーパスから、何を伝えたいのかを明らかに

まず、自社は何のために事業を行っているのか原点に立ち返り、自社のパーパスを明らかにします。その際、社会に対してどのような良い影響を及ぼしたいのかという観点から自社の存在意義を洗い出すことが重要です。その上で、自社のパーパスに基づき社内外に何を伝えたいのかを検討しましょう。

3-2. 世の中の社会課題を知る

世の中にどのような社会課題があるのかを知らなければ、自社のパーパスと結び付けることもできません。まずは自社事業と関係の深そうな社会課題について知り、視察やインタビューなどから可能な限りリアルな疑似体験をすること、そしてその社会課題に対し、自社の本業がどのように携わり、社会課題の認知または解決に貢献できるかを考えることが必要です。

3-3. 課題に近いNPO・公的機関との連携

LacosteとIUCNの「絶滅危惧種のロゴをつけたポロシャツ」の事例は、Lacosteが単独でプロジェクトを実施するのではなく、絶滅危惧種の保護という課題に近い存在であるIUCNと連携したからこそ実現したアイデアであるといえます。自社のパーパスと課題意識の近いNPOや公的機関と連携することで、自社のパーパスに対する社会からの認識や共感が深まります。

以上、本記事では、自社のパーパスを伝えるためのコミュニケーションの事例やポイントについてご紹介しました。パーパスに基づいた一貫性のある取り組みやその伝え方は、顧客をはじめ、従業員やビジネスパートナなど、あらゆるステークホルダーからの共感や幸福感を高めるために不可欠です。まずは「何を伝えたいか」から出発し、課題の認知や解決にアプローチしてみてはいかがでしょうか。

自社のパーパスを効果的に伝える方法とは?

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