展示や空間デザインに使えるサステナブルなパネルや備品・ポイントを紹介

展示や空間デザインに使えるサステナブルなパネルや備品・ポイントを紹介

サステナビリティを意識した企業である以上、顧客のタッチポイントに対して一貫して環境に配慮した取り組みをすることが重要です。前回の記事「環境に優しいイベントを運営するには?会場をサステナブルにする6つのヒント」ではイベント運営をサステナブルにする方法についてポイントを解説しましたが、今回は、展示会やイベントで使われる備品で考慮するべきポイントについてご紹介します。

目次

1. サステナブルな展示会を実現するための要素とは?

サステナブルな展示会を実現する上で留意すべきポイントとして、次の3点が挙げられます。

1-1. パネル:リサイクルできる素材選び

リサイクル可能な素材を展示会で使うパネルに用いることで、展示会終了後に破棄することなくリサイクルでき、余分なゴミを減らすことができます。その代表的な素材に段ボールやハニカムボードがあります。段ボールは、間伐された木や家などに一度使われた古い木などを使って作られています。使い終わった後、再び段ボールとしてリサイクルすることもできる上、もしリサイクルされなかったとしても土に還る素材でできており、環境への負荷が少ないといえます。ハニカムボードは、蜂の巣のような構造をした紙を厚紙で挟んだものです。紙でできているため軽く、リサイクル可能な上、その特徴的な構造から強度もあり、パネルとして使用することができます。

1-2. 資料:印刷物の削減

QRコードを設置して参加者が各自で資料をダウンロードすることで、配布資料などの印刷物を極力減らすことができます。印刷に必要な資源を削減できるだけでなく、輸送する量が減らせるため、輸送のための燃料を削減することにもつながります。印刷が必要な場合、環境に配慮した用紙やインクを使用するようにしましょう。

1-3. 輸送:燃料の削減

CO2排出量を削減するため、大型車やトラックと比較して燃料消費量の少ない小型車に収まるようなディスプレイを採用することが重要です。再生紙でつくられたロール式のディスプレイを採用する、小さなパネルをつなぎ合わせるようなディスプレイを採用することで、展示会の会場まで小型車で運ぶことができます。環境負荷の少ない輸送方法についてはこちらの記事をご覧ください。

2. 再利用可能なパネル・備品の事例まとめ

環境に配慮した用紙やインク・再利用可能なパネルなどの備品の事例をご紹介します。

2-1. ハニカムボード

英国のWH SKINNERは、段ボールやハニカムボードを用いた展示スタンドを提供しています。軽くて丈夫なため、少人数でも簡単にパネルを設置したり、組み立てたりすることが可能。また、段ボールやハニカムボード本体は白色または茶色であるため、好きな色で印刷することができ、デザイン次第では段ボールやハニカムボードでできたパネルだと気づかれない自然な展示に仕上がります。

2-2. 什器

プロジェクトKOPPAはKOPPAチームの建築家・大工の方が解体現場で見た「もったいなさ」を端緒とし、建築現場の廃材の中でも最も多い、半端な長さの角材や板材を使って作られた「木っ端」のアップサイクルした素材を活用しています。株式会社ワコムに向けてカスタマイズされた、展示什器の「旅するKOPPA」は展示会場に合わせて組み替えやすく、スーツケースに入れて簡単に持ち運べることが大きな特徴です。木の温かさと香りを感じられるとの声もありました。

2-3. インク

東洋インキでは、環境調和型インキを製造・販売しています。環境調和型インキには、綿、パルプ、米ぬか、植物油などの生物由来の資源(バイオマス)から成分を抽出して製造したバイオマスインキや石油系溶剤をほとんど使わず、大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、米ぬか油などの再生植物油を使用したNon-VOCインキがあります。

米国のLivingInkTechが開発したのは、藻類のインク。石油系溶剤を一切使わず、藻類でインクの黒色を作り出します。また、インクには、藻類の生産施設で廃棄される予定だった藻類を原料に使用しているため、廃棄物の削減にもつながります。

また、フォントを工夫し、可読性を保ちつつ印刷時に使用するインクを極力減らす方法もあります。エコフォント(Ecofont)は、文字に細かい穴を開けたような字体で、印刷する際はインクが紙に自然ににじみ、印刷後の文字は細かい穴が分からないようになっています。ArialとEcofont Arialを比較すると、Ecofont Arialの方が28%インクを節約できるそうです。英国のRyman Ecoは、複数の細い線を使って文字を構成することにより、インクの量を減らして印刷できるフォントを作り出しました。

2-4. 紙

バナナペーパーとは、従来は廃棄されるオーガニックバナナの茎から取ったバナナ繊維を原料とし、日本の和紙の技術を用いて作られた用紙です。印刷用紙の中で唯一フェアトレード認証を受けています。バナナペーパーは1年で再生するバナナ茎からの繊維と、古紙や持続可能な森林からとれるパルプを使用しているため、森林保護につながります。

竹やバガス(サトウキビの絞りかす)など、木材以外の材料から作られた非木材紙は、廃棄予定だった材料が再利用されることで、廃棄物の削減につながります。他にも、食品加工時などに排出される未利用の表皮や繊維をパルプに混ぜて作るシリアルペーパー、間伐材を原料にした間伐紙があります。これらの紙は通常の紙と質感が異なるため、用途に合わせて紙を選べます。

2-5. 印刷会社

大川印刷では、環境負荷に配慮した紙とインクを使用しています。パネルの素材によってリサイクルが困難なものもありますが、段ボール素材を選べばリサイクル可能。また、電気自動車やディーゼル車を使って配送し、納品における段ボールケースの回収や処分に伴う廃棄物削減のためプラスチックコンテナによる納品を行うなど、輸送時も環境負荷についても配慮しています。

2-6.アメニティ

文房具メーカー・パイロットコーポレーションから発売された油性ボールペン、「スーパーグリップG オーシャンプラスチック」。陸や川に捨てられ、最終的に海へ流れ込んでしまったプラスチックが海の生態系に悪影響を及ぼし、近年大きな問題となっています。そこで、パイロットコーポレーションはプラスチックごみを削減するため、海から回収されたプラスチックをボールペンの軸や鞘に用いた海にやさしい油性ボールペンを開発。環境にやさしいだけでなく、指の動きをしっかりホールドできるつくりになっており、機能性も重視しています。展示会を訪れた人がアンケートや感想などを記入する際に使ったり、景品として配布したりするのも良さそうです。

3. サステナブルな展示会を実現するためにできること

サステナブルな展示会を実現するには、展示会で使用する「モノ」を削減することが最も重要です。パネルなどの備品や景品、印刷物を減らすことで余分な廃棄物を減らすだけでなく、輸送時にかかる燃料を削減し、CO2の排出量を減らすことができます。しかし、環境への負荷を意識するあまり、魅力的な展示会になっていなければ元も子もありません。サステナブルな展示会を実現するために少しでも環境負荷の低い素材を検討していきましょう。

4. サステナブルな展示会を実現するノウハウをもっと知る

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