今さら聞けない、CSRの意味と企業のサステナビリティの関係とは?

今さら聞けない、CSRの意味と企業のサステナビリティの関係とは?

昨今では、企業が持続的に発展していくためには、利益だけではなく環境に配慮した取り組みなど、社会的責任を果たすことが求められています。「企業の社会的責任」を意味する「CSR」は、消費者や投資家からの批判を避けるための戦略というイメージを持たれがちな言葉です。しかし、実際には企業を取り巻く環境をサステナブル化し、企業価値や顧客エンゲージメントを高めるための重要な要素の一つです。今回は、CSRの意味やサステナビリティとの関係について、世界の先進的な事例を踏まえてご紹介していきます。

目次

1. CSRとは

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の頭文字で、「企業の社会的責任」と訳されます。企業が利益至上主義にならず、市民や投資家などのステークホルダー、そして社会全体に対して責任を果たすために、戦略を持って自発的に行動を起こすことを指します。簡単にいうと、自社の利益だけではなく、社会をよくするための行動がCSRです。
主なCSR活動は、環境保全や人権の保護、労働環境の改善、サステナビリティ(持続可能性)、地域社会への貢献などです。会社のコンプライアンスを遵守して、投資家への説明責任を果たすインベスター・リレーションズ(IR:企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する活動)を行うこともCSRに含まれます。

CSR活動を行うメリットは、投資家からの評価を上げること、消費者からの信頼や評価を得ることの二点です。日本では、高度経済成長の終わりに、企業が公害など多くの社会問題を発生させたことがきっかけとなり、CSRが改めて注目されるようになりました。

企業市民協議会(CBCC)のCSR実態調査(2017年)によると、回答企業の4分の3以上がCSRへの取り組みに関する目標や行動計画等を策定していることがわかっています。今後、SDGs(持続可能な開発目標)への対応を意識して、CSR活動を行う企業が増えてくることが考えられます。

2. サステナビリティとの関係

サステナビリティは、物事の「持続可能性」を意味しており、「将来に渡って、機能を失わずに続けていくことができることやシステム、サービス」を指す言葉です。主に形容詞の「サステナブル」が使用され、「サステナビリティ(Sustainability)」と表記されることもあります。サステナビリティは環境問題の用語としてのイメージが強いですが、働き方改革や災害に強いまちづくりなど、あらゆる社会課題の解決のために極めて重要であるため、これからのビジネスに欠かせないキーワードとなってきました。

CSRとサステナビリティは、同じように捉えられることがありますが、企業のサステナビリティの取り組みには「守りと攻め」があり、CSRは守り(批判リスク回避・最低限取り組むべきこと)、CSVは攻め(ビジネスとして社会貢献を取り組むべき)として考えられています。サステナビリティに関しては、両者の土台となる重要な意味合いを持っています。例えば、企業活動として「環境への影響を最小限にとどめる」ことができたとしても、それによってコストや従業員への負担が増大してしまい、持続的に企業活動を行うことができない仕組みは全体としてサステナブルであるとは言えません。

サステナビリティを意識して、企業活動を行っていくためには、包括的に社会に貢献する必要があるため、短期間ではなく長期目標を定めて、できることから始めることが大切になります。

3. 世界のCSR事例

CSRとサステナビリティの関係性を踏まえた上で、自社の取り組みにも活かせる、世界のCSR事例についてご紹介していきます。

CSRの新しい発信方法

ベネッセは、オウンドメディア「サステナブルな社会へ」を通じて、新しいCSR情報開示のあり方を提示しています。教育、育児、生活、語学・グローバル人材教育、シニア・介護を手掛けるベネッセグループの、社会に役立つ取り組みやそれにかける社員の思いを取材し、掲載しています。「サステナブルな社会へ」には、ベネッセの事業の中で、社会的に良い取り組みを行っている事例を紹介する記事がずらりと並んでいます。

この事例のような、社内のソーシャルグットな事例と社員の想いを社内外に発信していく企業が増えれば、日本中の良い取り組みがどんどん発掘されることに繋がります。自社が当たり前に行なっていることは、他社からみると目新しく、先進的だと認識されることもあり、それが企業のブランディングにつながります。自社ならではのCSRの新しい発信方法を考える上で、参考になる事例ではないでしょうか。

CSRで顧客満足へ直につなげる

ドミノピザが、アメリカで「Paving for Pizza(ピザのための舗装)」と銘打つ道路舗装のための資金援助キャンペーンを行いました。このキャンペーンでは、自分の住む地域に舗装が必要な道路を見つけたら、Paving for Pizzaのウェブサイト内の専用フォームにその場所の郵便番号を入力します。その後、ドミノピザ側が実際に舗装を行う場所を選出し、選出された地域の自治体は、舗装資金として5000米ドル(約55万円)を受け取ることができるという仕組みになっています。ドミノピザが舗装した道路には、ドミノピザのロゴと「Oh yes we did.(やったのは私たちですよ)」の文字がプリントされており、広告の役割を果たしています。

このキャンペーンは、地域住民にとっては安全な道を手に入れることができ、ドミノピザ側は宣伝効果、さらに社会貢献による企業イメージの向上も狙えるという仕組みになっています。CSR活動の問題点として「投資したお金に対する効果が見込めない」ということが一般的には挙げられています。しかし、この事例のようにCSR活動が効果的な宣伝効果になれば、CSR活動を行う企業は今後さらに増えていくのではないでしょうか。

企業とNPOが出会う場所を設計

3Spaceが展開するプロジェクト「BuyGiveWork」では、コワーキングのスペースが一つ購入されるごとに、地元のNPOや試験的プロジェクトを行う団体にもスペースが一つ与えられます。このプロジェクトの狙いは、コワーキングスペースを活用するテック系スタートアップ企業や中小企業、地元のNPOらとの距離を近づけて、相乗効果を生むことです。今、世界では商品を一つ購入するごとに同じ商品を一つ寄付する「Buy One, Give One(B1G1)」という取り組みが、企業の社会貢献モデルの一つとして注目を集めています。

今後、山積する社会問題を解決していくためには、企業とNPOが手を取り合い、共に成長していくことが必須です。この事例のような、企業とNPOをつなぐCSR活動は、自社のブランディングに効果的なだけではなく、社会的にとっても非常に価値があります。CSR活動を考える上で、自社にとってのメリットだけではなく社会的に対してどのような価値を提供できるか、という視点を持つことの重要性をこの事例から学ぶことができます。

4. 事例から考えるCSRの意義

ここまでご紹介してきた世界のCSR事例を踏まえて、企業がCSRに取り組む意義についてご紹介していきます。

企業のブランディングにつながる

事業環境の不確実性に対応し、企業経営を行なっていくためには、CSR活動を通じて、消費者から支持される企業を目指す必要があります。上記でご紹介した「ベネッセ」や「ドミノピザ」の事例のように、自社のCSR活動を効果的に発信することができれば、消費者の共感を得られるブランディングが可能となります。利益第一主義の経営スタイルが限界を迎えている時代において、企業がさまざまなステークホルダーと一体になってCSR活動に取り組んで行くことが、市場で生き残っていく鍵になると言えます。

競争戦略に寄与する

豊かさに対する新たな価値観を持つミレニアル世代Z世代を筆頭に、「私にもよくて、社会にもいい」といった社会貢献につながる商品やサービスが支持されるようになってきています。CSR活動を通じて、社内の取り組みなどを発信することにより、競合他社と類似している商品やサービスを提供している場合においても、「社会的責任を果たしている」「持続可能な社会の実現に貢献している」という観点から差別化することができます。

他社とのつながりを生む

企業の利益のみが目的の活動だと、協力してくれる他社を見つけることは難しいでしょう。しかし、CSR活動には「社会的大義」という側面がありますので、他社とのつながりを生むことができます。例えば、自社で環境に配慮したCSR活動を行う場合などは、その活動に参加することでメリットが得られる企業、もしくは共感してくれる企業が参加してくれる可能性があります。加えて、企業のみならず、NGOやNPO、また政府や国際機関等との連携も可能となるケースもあるでしょう。

またCSR活動を行い、他社とのつながりを生むことで、外部資源を使うことができるようになり、ローコストで新しい市場に参入することも視野に入れることができます。

いかがでしたでしょうか。企業を取り巻く環境をサステナブル化し、企業価値や顧客エンゲージメントを高めるためには、「CSR」は欠かせない要素になりそうです。様々な先行事例がある中で、自社ならではの強みや特徴を活かしたCSRのあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

5. CSRの先進事例をもっと調べるには?

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