【2020年最新版】心を動かすソーシャルグッドな広告のアイデア先進事例
2019年度はインターネット広告の市場規模がテレビ広告の市場規模を上回り、始めて2兆円を越えました。スマートフォンの普及以来、私たちは日々多くの情報を目にしています。そのような状況下で、ターゲットへ効果的にリーチする方法を模索している企業も多いのではないでしょうか。広告の形が多様化するなか、ここでは先進的な広告事例をいくつかご紹介し、効果的な広告のポイントをいくつか挙げていきます。
目次
1. コロナ禍でも出したい、予算を抑えた効果的な広告
従来の広告は4大マス広告と呼ばれるテレビや新聞をはじめ、野外広告が多くを占めていました。しかし、インターネットの普及やスマートフォン利用者の増加をきっかけにSNS広告や動画広告、リスティング広告などと、近年広告の種類が多様化しています。
また、インターネットやスマートフォンの普及をきっかけに表現方法が変化し、SNSなどの媒体を通じて消費者との直接的な接点を持つ機会が増えるようになりました。今では、リアルとオンラインの連携やデジタルデバイスの使用、企業からの一方的な宣伝ではなく消費者に行動を促す広告など、あらゆる手法が存在しています。
そんななか、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、リモート勤務やオンラインイベントなどが増加し、より一層デジタルに触れる機会が増えるようになりました。しかし、一方で企業側に目を向けると4~6割の企業が昨年と比較して広告費を減少し、約7割は費用対効果の高い新たな広告手法を模索していく必要性を感じているという結果が出ています。
このように、景気が後退気味の状況下ではしわ寄せがきやすい広告。効果的なターゲットへのPRをどのようにすればよいのか、試行錯誤している企業も多いのではないでしょうか。
今回は一味違う、工夫されたユニークな広告をいくつかご紹介します。
2. 国内外のソーシャルグッドな広告事例 5選
2-1 生徒と教師の対話を促すパンテーンの広告「#この髪どうしてダメですか」
一時話題になった、パンテーンが打ち出した広告です。髪染めに関する校則に疑問を持つ生徒から問われた質問に、先生が回答する様子が映像で流れる広告。「#この髪どうしてダメですか」というキーワードを用いて生徒と教師の対話を促しました。また、このCMが配信されて以降、SNSでは「理不尽な校則」や「教師の働き方」に対する議論が活発になりました。
2-2環境保護の啓発メッセージを刻む、ドコモのシェアサイクル「STAMP BIKE」
日本でシェアサイクルサービスを運営する株式会社ドコモ・バイクシェアが開発した、走った跡が広告になる自転車「STAMP BIKE(スタンプバイク)」です。車体につけられたポンプからタイヤに自動で水が噴射され、濡れたタイヤが地面の上に走ると跡がつきます。この跡は地面から水が蒸発するまでのわずかな間だけ道路に映し出される仕組みになっています。現在、地球温暖化の影響を受けている動物たちのイラストと「しぜんをのこそう」というメッセージが転写されるスタンプバイクなどがあります。
2-3 モラルの見直しを訴える、野次馬にだけ見える看板「The Trojan Billboard」
とある事故現場でスマートフォンでの撮影に夢中な野次馬の注意を惹くために打ち出された「トロイの看板」キャンペーン。現場の奥にある看板は一見真っ白に見えますが、スマートフォンのカメラをかざすと、“Take care, not pics(写真より、気遣いを)” “If you want to share something, donate your blood(シェアしたいなら、写真じゃなくて献血を)”など画面をかざすと読めるメッセージが浮かび上がる仕組みになっています。
2-4 エコな食品容器を広告媒体にする「Foodabox」
紙でできたエコな食品容器を広告媒体として活用することで、飲食店向けに容器を安く提供している取り組みです。食品容器の原料には生物分解可能でオーガニックな素材を用いてコーティングし、大豆由来のインクを使用しているため使用後はリサイクルが可能です。また、クライアントのニーズに合わせて柔軟に対応しており、パッケージのサイズや色などをカスタマイズまでできます。
2-5 顧客満足も、CSRも。ドミノピザの道路舗装キャンペーン「Paving for Pizza」
これはドミノピザのキャンペーンの一種ですが、効果的な宣伝効果があった事例です。その内容としては、消費者が自分の住む地域に舗装が必要な道路を見つけてドミノピザにサイトを通じて報告したら、ドミノピザは選出した地域の自治体に5000米ドル(約55万円)を舗装資金として補助するというもの。アメリカの3つの地域で、50以上の道路のくぼみが補修され、舗装した道路にはドミノピザのロゴがプリントされ、広告の役割を果たしました。
3. ソーシャルグッドな広告を展開するポイント
ここでは、事例をもとに先進的な広告事例のポイントを整理します。
3-1 共感を呼ぶメッセージ
近年見られる「#(ハッシュタグ)」を使ったSNSでのPR手法では、企業側からの主張を一方的に押し付ける趣旨のメッセージではなく、知人や友人に「あなたは〇〇についてどう思う?」と思わず呟きたくなる疑問を投げかける形式はSNS上で話題になりやすい傾向があります。上記に挙げた、校則に疑問を持つ生徒が声をあげるきっかけとなった事例のように、そのターゲットが潜在的に疑問を抱いていたことや、口には出せなかった意見を企業側から明確に打ち出した事例では、議論を促すきっかけとなりました。ターゲットに寄り添ったテーマを効果的に提示することができれば多くの関心が寄せられ認知が広がる効果があります。
3-2 出現方法の意外性
近年、ミレニアル世代・Z世代は広告を嫌う傾向にあると言われています。そんな広告に抵抗がある層にどのようにリーチするのか、試行錯誤を経て今日のように「広告らしくない」広告が増えています。広告らしくない「広告」の一例として、予想外の場所や意外性のある方法でターゲットの前に現れることが重要です。上記で挙げた、ドコモのシェアサイクルの走ったタイヤ痕にメッセージが含まれていたり、スマートフォンのカメラをかざすとメッセージが現れたりなどと、普段見慣れない光景を提供することで、意識的に注目させる効果があります。これらの意外性は、思わず誰かに共有したくなるような仕掛けの一つとして、SNSでシェアされやすく、拡散しやすい手法の一つです。
3-3 異業種の企業や団体との連携
冒頭から度々お伝えしているように、広告は多様化しており、クリエイティビティや意外性を求められています。このような状況下では、異業種との連携により、斬新な広告を作り出すことができます。先ほどご紹介した、環境によい紙でできた食品容器を広告媒体として活用し、飲食店向けに容器を安く提供している取り組みも広告を出したい企業と食品容器を製造する企業が提携して取り組んでいる一つの例です。もう一方の飲食業と自治体の連携も、また斬新な取り組みとしてプロモーション効果があった事例です。これらのように、業界を超えた企業同士を掛け算し、他に類を見ない広告を生み出していくのも重要なポイントとなります。
ソーシャルグッドな広告をもっと知るには?
いかがでしたでしょうか。広告のあり方が複雑化している今、自社らしさが反映された広告・メッセージを効果的に発信する方法が次々と編み出されています。
テクノロジーの進歩のみならず、新型コロナの影響で生活様式が変わったいま、改めて自社のPRの方法を見直す良い機会となっています。広告を含めた社会への発信方法や一般消費者との接点の持ち方は、今後ますます多様化されていくでしょう。自社ならではの特徴や強みを活かした広告を考えてみてはいかがでしょうか。
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