環境に優しいイベントを運営するには?会場をサステナブルにする6つのヒント

環境に優しいイベントを運営するには?会場をサステナブルにする6つのヒント

建設や解体の過程で発生する廃材も多く、環境負荷を少なくすることが難しい「空間づくり」の分野。取り組みをサステナブルにしたいものの、何から着手すればよいのかわからないとお困りではありませんか?今回は建築分野が専門ではない方でも工夫できる点にしぼり、空間をサステナブルにするポイントを解説します。

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目次

1.空間づくりと環境負荷の問題

Image via Unsplash

建築をはじめとする空間づくりは、扱う資材の量も多く、環境負荷を下げることが難しい領域と言われています。オランダでは解体を想定した建築が生み出されるなど、各国で工夫がこらされていますが、依然として環境に配慮した建材や手法は高価なオプションであることが一般的です。

特定の空間で期間限定のイベントを行う場合、そこで使われる材料の環境負荷にまで気を配られないことも多いのではないでしょうか。コストと時間との戦いが激しいイベント業界では、サステナブルな空間作りが一般的ではなく、廃棄物を少なくする手段をとるためのオプションも少ないということが問題になっています。

サステナブルな空間をつくるためには、何から着手すればよいのか。すべてをすぐにサステナブルにはできなくても、細かい点から工夫はできるのか。今回は、IDEAS FOR GOOD Business Design Labが2020年8月に東京・阿佐ヶ谷で開催した「Design for Good〜つながりのリ・デザイン展〜」にて実際に行われた施策を、アイデアとしてご紹介していきます。

2.イベント会場をサステナブルにするためのアイデア

2-1.空間を有効活用している場所を選定

まずは、どのような空間を選ぶかという点に関してです。すでに出来上がっている複数の空間から一ヶ所を選ぶ場合は、どの空間に会場費を払い、応援の意味を含んだ一票を投じるかという意味では、場所の選定も重要です。

場所の選定の基準は様々ですが、今回のイベントでは空間を有効活用している「線路の高架下」にある区画をイベント会場として使用しました。すでにある空間を有効活用している場所、すでにある資材を活用している空間は、ぜひ活用したいところです。他にも、廃校キャンピングカーを利用した空間作りの事例もあります。

2-2.家具はサブスクリプションサービスで

定期・不定期開催などの差異はあるものの、イベントといえば短期間であるものがほとんどです。イベントのために什器は購入すると、のちのち廃棄することになりかねないため、基本的にレンタルでまかなうと良いでしょう。今回の阿佐ヶ谷でのイベントでは、CLASのサービスを利用し、スタッフが座るためのチェアをレンタルしました。

CLASでレンタルした2脚のチェア

貸し出し・返却の際は、会場まで配送に来てもらうことができ、中には組み立てのオプションがある商品もあります。チェアは月々500円前後からレンタルできるため、経済的でもあるレンタルサービス。それを利用するだけでもより多くの資源を有効活用することにつながります。

また、IDEAS FOR GOODでも紹介されたyesのアップサイクルタンスもサブスクリプションサービスを利用してレンタルしました。yesは、使われなくなったタンスを現代風にアレンジし、モダンな空間にもなじむような商品を提供しています。今回のイベントでレンタルしたタンスはこちら。

yesでレンタルしたタンス

時の移ろいを感じさせる木目のタンスに、黒いアルミのフレームが添えられ、家具の雰囲気が締まって見えます。タンスには「はをり」「あはせ」など、かつて着物がしまわれていた痕跡も。このように空間に重厚感を添えてくれるアイテムも、サブスクリプションサービスを利用することで、気軽に導入することができます。

2-3.オフィスの備品をフル活用

オフィスで使用している文房具

三点目はオフィスにすでにあるものを活用するということです。現在新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークを選択できるようになった人も増えています。人が少なくなったオフィスでは、意外と使っていない備品があるものです。今回のイベントでは、机を1台、はさみ、のり、ペンなどの文房具を、オフィスからまとめて運搬しました。全面的に在宅ワークへ移行した企業にとっては、備品を捨てずに使うチャンスでもあります。

2-4.パネルはリサイクルできるものを

紙として廃棄されるパネル

今回会場で使用したパネルはすべて大川印刷にて製造されたものです。大川印刷では、環境負荷に配慮した紙とインクを使用しており、さらにはエコな配送までもが徹底されています。パネルの素材によっては、リサイクルが困難なものもありますが、今回のイベントで使用したパネルはすべて段ボールとしてリサイクルできるもの。

パネルの色の風合いもよく、通常のパネルに遜色ありません。2cmほどの十分な厚さがあり、立てかける展示方法でも強度に心配はありませんでした。一度にたくさんの量を依頼する場合は特に、環境負荷にも配慮した選択肢を選んでみてはいかがでしょうか。

2-5.特注サイズの什器は自分たちで作る

ペットボトルで作った什器(写真左)

最後に、特注サイズの什器についてです。今回のイベントでは、W180mm×D50mmほどのバーカウンターのような細長い机が必要でした。レンタルや購入も可能ではありますが、デザインやサイズの条件を網羅するものを探し出すことは簡単ではありません。そこで今回は、どこにでもあるペットボトルという資源を使って、什器を手作りしました。必要だったペットボトルは約170本。会場付近のパン屋さんからも協力を得てペットボトルを回収し、約6時間かけて什器を完成させました。

今回ご来場いただいた方からも一際目を引いたこちらの什器。大きなイベント会場の場合、すべての什器を自分たちの手でつくることは不可能ですが、人目を引くものや、こだわりたい場所などは、思い切って「手作り」という選択肢を加えてみるのも手かもしれません。

2-6.スケジューリングは余裕を持って

イベント会場のロケーションや規模、イベント企画側が割けるリソースなどによって、できることは変わってくるため、会場をサステナブルにするための黄金ルールのようなものは存在しませんが、少なくとも今回の紹介した事例を通して言えることは、自分の手を動かす/適した外注先を探すということは、それなりの時間を要するということです。時間がないと、とにかく「速い」ものを優先して、結果的に環境負荷が高まってしまうケースが多々あります。余裕を持ったスケジューリングをすることが、空間を持続可能にする第一歩だと言えるでしょう。

3.会場をサステナブルにつくるために

ご紹介したような方法で会場の環境負荷を少しずつ減らしていくことはできますが、そもそも社員のマインドが「外注すればすぐに終わるのに」という方向に向いていると、クリエイティビティが十分に発揮されないため、制作する作業を楽しめるようにする工夫も必要です。そのためには、アイデアを出し、議論する人と、制作する人が分かれないようにする方が良いでしょう。それは、制作だけ依頼された人が制作する意義を理解しきれないという理由だけでなく、企画する人にとっても自分で手を動かすことがその後他のアイデアを考えるときにも活きる経験となるためです。自分たちの出したアイデアが実現されていく過程をチームで楽しめることが、サステナブルな空間づくりを私たち自身がサステナブルに楽しむポイントであると言えます。

4.BDLのワークショップとは?

いかがだったでしょうか。空間づくりにおいて、すべての環境負荷を下げることは難しいですが、できるところから自分たちの手で少しずつ取り組む経験は、空間づくり以外の側面でも活きてくるはずです。

本サイトを運営するIDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、「Make Sustainability Desirable.(サステナビリティに、ワクワクを。)」をコンセプトに、会員の方向けに(登録無料)SDGs・サステナビリティ・CSV・サーキュラーエコノミー関連プロジェクトの企画立案・立上・運営までをサポートしております。IDEAS FOR GOODならではの豊富な国内外の事例を活用し、御社の強みを生かした事業づくりについて考えてみませんか?IDEAS FOR GOODチームとの共創プロジェクトも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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