自然界に学ぶリーダーシップ。これからの働き方・組織作りに活きる「バイオミミクリ」とは

自然界に学ぶリーダーシップ。これからの働き方・組織作りに活きる「バイオミミクリ」とは

新型コロナウイルスの拡大や深刻化している気候変動が問題視されている昨今において、サステナビリティを超えた概念「リジェネレーション(再生)」や「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」のビジネスモデルに高い関心が寄せられています。

循環型・再生型のビジネスを作る上で参考になる考え方として、自然界の構造や仕組みからヒントを得る方法「バイオミミクリー(生物模倣)」があります。働き方が大きく見直されている今日において、企業の利益追求のみならず、社会や自然環境にも配慮した組織作りにバイオミミクリの手法を取り入れる有用性が見直されています。

今回IDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、株式会社SYSTEMIC CHANCE代表取締役の東 嗣了氏をお招きして、これからの働き方・組織作りに活きる「バイオミミクリ」についてお伺いしました。

東 嗣了
登壇者:東嗣了氏(サステナビリティ・リーダーシップ コンサルタント / 組織変革システムコーチ 株式会社SYSTEMIC CHANGE 代表取締役 共創型ラーニングコミュニティ バイオミミクリー大学学長)

リーダーシップコンサルタント、組織変革コーチとして、これまで400社、3万人以上を対象に、各種研修・ワークショップ・コンサルティング・コーチングを実施。左脳的なロジックと右脳的な感性の両方をバランスよく取り入れることが強み。サステナビリティのグローバル潮流とネットワークを活かしながら、日本における企業のサステナビリティ変革・リーダー育成に情熱を注ぐ。現在、バイオミミクリー(自然の叡智から学ぶイノベーション)の世界的な研究機関に在学中。ニュージーランドにて人生をリデザインする個人向けリトリートを4年にわたり開催。釣りを通して世界中を旅することが趣味。アリゾナ州立大学サステナビリティリーダーシップ学エグゼクティブ修士。

サステナビリティからリジェネレーションへ

これまでは、経済社会を中心とし、その中に企業・組織があり、その中の一業務として環境対応があるという位置づけでした。しかしこれからは、自然環境・資源を前提とし、その中に経済社会があり、企業・組織があるという意識を持つことで持続可能な社会が実現できるのではないかと東さんは振り返ります。

さらに世界では「サステナビリティからリジェネレーションへ」という流れが浸透し始めており、マイナスのものを減らしていくだけでは地球環境は限界を迎えてしまうため、プラスのものをいかに創り出していくかということに意識を変えていく必要があります。その中で、バイオミミクリは一つの切り口になると東さんは強調しています。

サステナビリティからリジェネレーションへ
サステナビリティからリジェネレーションへ

バイオミミクリが一つのヒントになる

バイオミミクリとは、自然の形状、プロセス、システムと繋がり、学び、注意深く模倣することで、リジェネラティブなデザインやホールシステムを生み出すことです。バイオミミクリという概念は、1997年に「自然と生体に学ぶバイオミミクリ」という本を出版した、サイエンスライターのジャニン・ベニュス氏が提唱しました。昨今では、自然のシグナルやサインからヒントを得ていろいろな企業がアクションを起こしています。具体的には以下の例などがあります。

クモの巣がヒントになっている、鳥にやさしいガラス

アメリカ国内では、最多で毎年年間10億羽以上の鳥がビルに衝突し、亡くなっているという調査結果が出ており、深刻な問題となっています。鳥の方向感覚を失わせるビル窓の反射光が原因であると言われており、人間主体のデザインがベースであることが問題です。たとえ、スマートビルディング・熱効率のいい断熱材を使っていたとしても、人間主体のデザインであれば本当の意味での「サステナビリティ」とは言いきれません。

このような問題を解決するために、ドイツの会社アーノルドグラスは、オルニラクスという窓を開発しました。この窓は、鳥は森の中を飛んでいても蜘蛛の糸に引っかかることはないという点から着想を得て、鳥にしっかりと見える模様を付けたガラスのデザインになっています。この事例は、鳥にやさしいガラスの開発だけではなく、鳥のビル衝突に関する問題の認知にも大きな役割を担っています。

カワセミのクチバシ構造から着想を得た、新幹線のデザイン

JR西日本の新幹線のデザインは、カワセミのクチバシ構造から着想を得ています。カワセミは餌を取るために水中に飛び込みますが、そのとき水しぶきがほとんど飛び散ることはありません。この点に注目し、空気抵抗を極力抑えた新幹線の先頭部分が誕生しました。新幹線の空気抵抗を抑えることは、騒音対策につながり、近隣に住む人にとって優しいデザインとなっています。

バイオミミクリは、専門性の高い領域のみで注目をされていた概念でしたが、最近では上記の例のように、広い範囲で認知され、研究が進んでいます。

バイオミミクリの3つのエレメント

バイオミミクリ思考を理解するためには、3つの原理・原則を抑えておく必要があります。

Emulate 意識的な模倣

自然界には、曲線のものが多く、機械的な直線はありません。自然がなぜ黄金比のデザインをつくることができるのかなど、自然の造形物・メカニズムに意識を向けて、模倣することが重要です。

PAX SCIENTIFIC社では、花の形状や水が流れる渦巻の曲線を模倣し、エネルギー消費量が少ないパイプを生み出しました。また、日本で開発された「痛くない注射」も、蚊から着想を得ている事例として有名です。

Ethos 生命への態度

プロダクトや何らかのイノベーションが、38憶年のR&Dを実施してきた自然のメカニズムに当てはまっているのかを確認することも重要です。人間が豊かさを求めて自然の原理原則を無視してしまうと、自然の叡智をハッキングしてしまうことになります。プロダクトを生み出す上では、Ethosは欠かせない視点になってきます。

(Re)Connect 再びつながる

人間と自然を切り離して考えるのではなく、私たちも自然の中の一部だと認識するという考え方です。(Re)とは例えば、子供の頃に自然の中で遊んでいた人が、大人になってもう一度自然と繋がることで、新たな気づきを得られるという意味を込めた概念でもあります。

バイオミミクリ思考の本質とは?

昨今では、バイオミミクリ思考は、繊維やファッション業界など、業界問わず注目されつつあります。バイオミミクリ思考の本質とは、従来のような人間主体のビジネスや経済発展のために、自然の叡智が使われるのではなく、私たち人間が自然界の原理原則を守りつつも、どうすれば自然界にフィットすることができるのかを考える思考方法を指します。

これからの時代において、自然を学ぶ(Leaning about Nature)のではなく、自然から学ぶ(Learning from Nature)という考え方が、人と組織とのリジェネラティブな関係性や、自然と共生する循環型ビジネスモデルの構築を考える上で必須になってくるのではないでしょうか。

バイオミミクリ思考を理解するためのミニワークショップ

東氏のトークセッションのあとは、テーマをもとにバイオミミクリー思考を活かした事業創造に向けた具体的なアイデアや本イベントの感想を参加者の皆さんに共有していただくミニワークショップを実施しました。

オンラインワークショップの様子
オンラインワークショップの様子

ぜひ今回参加させたみなさまで繋がっていただき、バイオミミクリ思考を活かしたアイデア交換を引き続き行っていただければと思っております。

バイオミミクリ思考を取り入れた、ビジネスモデルを構築するためには

いかがでしたでしょうか。自然界からリーダーシップを学ぶことの重要性や、上記でご紹介した循環型・再生型のビジネスモデルを構築するためのバイオミミクリ思考の重要性を感じられたのではないでしょうか。

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