カーボンニュートラルを実現する、世界のサステナブルな工場の事例・ポイントをご紹介

カーボンニュートラルを実現する、世界のサステナブルな工場の事例・ポイントをご紹介

パリ協定での合意のもと、日本を含む各国が脱炭素社会を目指し、それに伴い企業もさまざまな取り組みを行っています。日本で発電所に次いで多く二酸化炭素(CO2)を排出しているのが、工場等の産業部門。工場から排出されるCO2をいかに抑えられるかが課題となってきます。そこで今回は、カーボンニュートラルな工場の事例をご紹介します。

目次

1. 製造業による環境負荷

製造業による環境負荷は、使用過程(製品が顧客の手に渡った後)と生産過程の2つに分けられます。使用過程については、たとえば電化製品など製品使用時に電力を要する際に、CO2が発生することがあります。また、製品が使えなくなったり、使わなくなった際にごみとなり、廃棄物処分の際にエネルギーがかかります。

一方、生産過程においては、廃材や排出ガス、排水などの工場廃棄物が発生します。電気やガス、石油などのエネルギーを使用する際に発生するCO2が問題となったり、大気汚染や水質汚染、騒音などの公害を発生させるおそれもあります。このように、製品を製造する過程において、多くの環境負荷がかかります。前述の通り、部門別CO2排出量は工場が2番目に多く、工場のCO2排出量は全体の約25%にあたります。脱炭素社会を目指す中で、製造業の脱炭素への方針転換が求められます。

2. サステナブル工場の取り組みまとめ

本章では、工場のサステナブルな取り組みをご紹介します。

2-1. CO2排出量の削減

ノルウェーで家具を製造するヴェストレ社が同社の工場をノルウェー東部の森の中に建設しました。同工場は、地元で採れた木材やリサイクルされた鉄筋を材料に用いており、屋上に1,200枚の太陽電池パネルが設置されています。特徴的なのが、工場の形。上空から見ると、プラス(十字架)のような形をしています。これは、工場運営の効率化のために倉庫、カラー工場、木材工場、組立エリアをそれぞれ建物の中央で接続するような設計になっているためです。

デンマークの食品メーカーPalsgaardは、2020年までのカーボンオフセットに関する目標を、2018年に達成したことを発表しました。オランダの生産施設では太陽光発電や風力発電、バイオガスを導入し、オランダの生産施設はカーボンオフセットを100%達成しています。マレーシアやブラジルなどCO2排出量の削減が困難な場所では、クレジットを購入しています。

サントリー食品インターナショナル株式会社は、長野県大町市に「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」を建設中です(2022年稼働予定)。「水と生きる」を掲げるサントリーの工場は、再生可能エネルギー発電設備やバイオマス燃料を用いたボイラー導入、再生可能エネルギー由来電力の調達などにより、「CO2排出ゼロ」を目指します。

また、大和ハウス工業株式会社は、2020年10月から自社工場で使用する電力を、自社施設で発電した再生可能エネルギーに順次切り替えていくことを発表しました。全国の9工場のうち、まずは4工場(新潟工場、中部工場、三重工場、奈良工場)で再生可能エネルギーに切り替えます。同社によれば、4工場での切り替え電力量は約15,000MWh/年となり、CO2排出量を約7,400t/年削減できる見込みです。同社は2055年までに環境負荷「ゼロ」に挑戦する環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定し、すでに2020年4月には、自社の全国の事務所・施工現場・住宅展示場に再生可能エネルギー由来の電力の本格導入を開始しています。

2-2. 廃棄物削減

サカタインクス株式会社は、廃棄物の削減に継続的に取り組んでおり、同社の4つの工場(東京工場、大阪工場、滋賀工場、羽生工場)でゼロエミッションを達成したことを公表しています。たとえば、使用済みドラム缶などのリユース、購入原材料の容器を繰り返し使える容器に変更する、廃溶剤回収などを実施しています。また、廃インキを燃料として再利用したり、金属くずを製鉄原料として再利用したりといったことなどに取り組み、リサイクル率が99.8%となり、ゼロエミッション(リサイクル率99.5%以上)を達成しました。

株式会社ブリヂストンの横浜工場では、分別ミスなどをなくすべく、社内に環境専門従事者という資格を設け、廃棄物置場に廃棄物を搬入できる人を制限しています。環境専門従事者は各職場に1~2 名配置され、廃棄物の運搬のほか、各職場の廃棄物発生抑制、分別の徹底、再利用の提案も行います。廃棄物管理体制の強化や分別の徹底が行われたことで、2012年の産業廃棄物排出量は、2008年と比較して約54%削減されました。

2-3. プラスチック削減

アディダスは2018年から事務所、小売店、工場、流通センターでの新生プラスチックの使用を段階的に廃止し、製造過程全体を通して環境負荷の低減を目指しています。また、アディダスは海岸から回収したプラスチックごみを再生、再繊維化して運動シューズとして販売し、500万足売り上げるヒットを生み出しました。

プリマハム株式会社は、原材料の包装資材として使われるプラスチックの余りを、リサイクルできるものとそうでないものに選別し、リサイクルできるプラスチックを売却することでプラスチックの廃棄量を削減する取り組みを行っています。また、包装不良や包装のやり直しの低減など、プラスチックの使用量を削減する対策も講じています。廃プラスチックの廃棄量低減に関する目標を定め、目標を達成できたか否かをホームページ上で公開しています。

3. 日本の課題と今後の期待

工場におけるサステナブルな取り組みを進めていくにあたり、課題もあります。たとえば、日本は火力発電が約75%、再生可能エネルギーが約16%、原子力が約6%です。火力発電は発電時に多量のCO2を排出するため、日本の工場で脱炭素化を図ろうとしてもなかなか難しい状況にあります。

日本は「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」という高い目標の達成に向けてエネルギーの転換を図り、脱炭素社会の実現を目指していますが、実現のためにはさまざまな分野でイノベーションが求められます。水素、蓄電池、カーボンリサイクル、再生可能エネルギーなど、あらゆる選択肢を検討していくこと、並行して廃棄物削減やデジタル化など、工場でできることから取り組んでいくことが大切です。

4. 世界のサステナブルな工場の事例をもっと知るには?

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