脱炭素・廃棄物削減につなげる、サステナブルな照明器具・照明サービスをご紹介

脱炭素・廃棄物削減につなげる、サステナブルな照明器具・照明サービスをご紹介

私たちの日常に欠かせない照明器具。世界では約68億5,500万人(※)が電気を使用しています。電球を一度取り替えると何年も使い続けられるものの、約68億5,500万人もの人が使用した電球をすべてごみとして捨ててしまうと、膨大な量になるのは容易に想像がつくのではないでしょうか。環境への悪影響を少しでも減らすべく、近年はLaaS(Light as a Serivce)など照明器具や照明サービスのあり方が見直されてきています。そこで、今回はサステナブルな照明器具や照明サービスの事例をご紹介します。

※未電化地域の人口は約8億6,000万人であり、世界の総人口(約77億1,500万人)から引いて約68億5,500万人とした。

目次

1.脱炭素化で知っておきたい照明が環境に及ぼす影響

19世紀に電球が発明されてから、私たちの生活はより豊かになり、今では生活に欠かせないものになっています。しかし、過剰または不適切に配置された照明によって、環境はさまざまな悪影響を受けています。

1-1. CO2排出量の増加

照明を使用する際、その発電の過程で 二酸化炭素(CO2)を発生させ、地球温暖化を進行させてしまいます。経済産業省資源エネルギー庁によると、民生部門(ビルや事務所、家庭)におけるエネルギー消費量は増加傾向にあります。コロナ禍でリモートワークに切り替わる企業が増加傾向にあり、今後もリモートワークを中心とした働き方に変化していくことに鑑み、ビルや事務所におけるエネルギー消費量は減少、家庭で発生するエネルギー消費量は増加することが予想されます。カーボンニュートラルを実現するため、リモートワーク中に従業員が排出した温室効果ガスの削減を検討すべきだとするスコープ4に関する議論もあり、家庭で発生するエネルギー消費量を削減する必要性が高まることが予想されます。

また、家庭におけるCO2排出量の約半数を占めるのが電気です。家庭における消費電力量は、1965年のデータと比較すると倍増しており、消費電力の項目別の割合については「電力・照明」が約1.5倍に増加しています。生活の利便性・快適性を追求するライフスタイルの変化や、世帯数の増加など社会構造変化が背景にあると考えられています。このまま増え続ければ、ますます地球温暖化を悪化させてしまいます。

1-2.廃棄物の増加

照明器具のリサイクルが推進されつつありますが、照明器具の本体のみのリサイクルが一般的であり、電球は粗大ごみや不燃ごみとして捨てられることがほとんどです。そのため、電球はほとんど使い捨てられており、電球や照明器具の推定排出量は日本だけで年間約7億9,500万台(約11万t)です。主要な電気電子機器の推定排出量全体の約7割を占め、廃棄物の量は膨大だといえます。

2. 脱炭素・廃棄物削減につなげる、世界の照明器具・照明サービス

本章では、脱炭素・廃棄物削減につなげる、照明器具・照明サービスの世界の事例をご紹介します。

2-1. EUで20億個の電球の回収・リサイクルに成功

ベルギーに拠点を置くNPO法人EUCOLIGHTは、欧州で20億個もの電球を回収、リサイクルし、リサイクルランプとして新たに生み出しました。回収された電球のうち約80%をリサイクルしています。EUでは、電気電子機器廃棄物指令(WEEE指令)が2003年に発効しました。当該指令では、電気電子機器廃棄物(WEEE)の発生を抑制し、再利用やリサイクルを促進して廃棄されるWEEEの量を削減することを求めています。EUCOLIGHTの取組みは、WEEEの削減を推進するための重要な取組みとなっています。

【参照記事】EUCOLIGHT members reach two billion recycled lamps across Europe

2-2. 食用油で途上国の暗がりを照らす、効率的なLEDランプ

韓国のLUMIR社が開発したのは、食用油で駆動するLEDランプ「Lumir K」。充電は不要で、ランプボトルに食用油を入れて火をつけ、その上に本体をかぶせるだけで、熱エネルギーが電気に変換され発光するしくみです。明るさは従来の標準的な灯油の照明の4倍にもなり、CO2排出量も灯油ランプに比べて約90%削減できるほか、一度使い始めると10年ほど使い続けられるため、廃棄物の削減にもつながります。食用油は安価で入手しやすく、地域ごとに品質の差があまりないため、途上国でも燃料としての利用が期待されます。

【参照記事】必要なのは食用油だけ。途上国の暗がりを照らす効率的なLEDランプ

2-3. キノコで発電する、持続可能な未来の照明装置

米国・スティーブンス工科大学がキノコとシアノバクテリアを組み合わせる実験を行い、電流を生じさせることに成功しました。グラフェン・ナノリボンを含む電子インクを、生きたキノコの上に枝状に3Dプリントし、次に複数箇所で交差させながら、シアノバクテリアを含むバイオインクを渦巻状にプリントします。そしてキノコに光を当てたところ、シアノバクテリアが光合成を行い、約65ナノアンペアの電流が生じたといいます。約65ナノアンペアは電子機器にエネルギー供給するには不十分な量ですが、研究者たちは将来的にLEDランプを点火できると見込んでおり、現在はこのシステムを使って、より大きな電流を生み出すべく、さらなる研究を行っています。

【参照記事】キノコで発電する、持続可能な未来の照明装置とは?

2-4. 非常時にも電気を灯す「蓄電池になる赤レンガ」

米国・ワシントン大学が赤レンガを蓄電池にする方法を開発しました。レンガの蓄電池としての実用化に向けて期待される方法が、レンガを太陽電池に接続すること。太陽光パネルは太陽光を利用して発電するものの蓄電機能がありませんが、レンガを使用することで電力を蓄電池で貯めることができます。1時間以内で数十万回の充電が可能であることや、50個のレンガで非常用照明に5時間電力を供給でき、蓄電池として長く利用できます。今回研究チームが使用したのは通常のレンガでしたが、リサイクルされたレンガでも蓄電池化でき、廃棄物の削減につながります。

【参照記事】非常時にも電気を灯す。米大学の「蓄電池になる赤レンガ」

2-5. 電球ではなく「明るさ」をサービスとして提供

オランダのフィリップス社は、「明るさ」をサービスとして提供する「Lighting as a Service(LaaS)」を打ち出しています。LaaSは、法人顧客に向けて照明インフラの運用を請け負うサービスで、顧客は電球を購入する必要はありません。フィリップスは顧客が照明に求める性能を保証しつつ、照明のために消費している電力量を削減するための情報を提供します。無駄に消費される電力量を削減でき、環境にもやさしいサービスです。

【参照記事】Let your light pay for itself and cut energy costs instantly

3. 日本の課題と今後の展開

2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効されたことを受け、日本では廃棄物処理法施行令・施行規則等が改正されました。蛍光灯は、微量ながら水銀が使用されており、適正に処理されなければ人体や環境に悪影響を及ぼします。法令の改正を受け、使用済み蛍光灯の一部は市町村で分別収集され、製錬所などで水銀が回収されたり、ガラスが再資源化されたりしています。しかし、家庭内に眠っている蛍光灯の把握が困難であるため、全体でどれくらい回収できているかは正確には分かっていません。また、蛍光灯以外の照明器具についても、リサイクルが定着しているわけではなく、廃棄物の削減が課題となっています。

今後、照明器具の製造・販売会社が商品の所有権を持ってメンテナンスをしたり使い終わった照明器具を回収したりすることが、廃棄物削減や資源の再利用の観点からますます重要になります。その際、顧客とのコミュニケーションをどのように設計するか検討する必要がありそうです。

4. サステナブルな照明器具・照明サービスをもっと知るには?

本サイトを運営するIDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、「Turn Ideas into Actions(アイデアを形に変える)」をコンセプトに、会員の方向けに(登録無料)SDGs・サステナビリティ・CSV・サーキュラーエコノミー関連プロジェクトの企画立案・立上・運営までをサポートしております。IDEAS FOR GOODならではの豊富な国内外の事例を活用し、御社の強みを生かした事業づくりについて考えてみませんか?IDEAS FOR GOODチームとの共創プロジェクトも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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