消費者の心に響く4大要因とは?企業のビジュアルコミュニケーション戦略

消費者の心に響く4大要因とは?企業のビジュアルコミュニケーション戦略

消費者の価値観が大きく変わりつつあるアフターコロナの時代において、消費者は企業やブランドに何を価値として見出すのでしょうか。今回は、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー、ゲッティイメージズがリリースした「Visual GPS※」に基づいて、消費者の購買判断や経験からの行動など、人々に強い影響を及ぼす4つの大きな要因や、企業が行うビジュアルコミュニケーション戦略のポイントをご紹介します。

※ゲッティイメージズが設立から25年の中で収集してきた年間10億件以上の画像検索データと、調査機関YouGovとのパートナーシップによる26か国、13言語にわたる1万人以上の消費者意識調査を組み合わせ、ビジュアルコンテンツを効率的に選択するためのガイドhttps://creativeinsights.gettyimages.com/en/visual-gps

目次

1.消費行動に影響を与える、4大要因

1-1 ウェルネス

今回の調査で分かった、いま世界中の人々の関心を最も集めているのは、「ウェルネス」でした。

ウェルネスとは、身体の健康だけではなく、心の健康や人生の充実、自己実現にいたるまで、幅広い意味を含む概念です。米国のハルバート・ダン医師が『輝くように生き生きしている状態(1961)』と提唱したのが最初の定義で、「前向きに生きようとする心」や「自分に適したライフスタイルの確立」など、自発的な健康促進に重きを置いていることが特徴です。

ゲッティイメージズの調査では、日本人は肉体面の健康は82%、精神面の健康は81%の人が大切にすると回答しており、この2つは同等レベルで大切にされていることがわかります。また、日本の子育て世代が現在の生活で最も重視している項目は「家族の健康や幸せ」という結果になり、個人のウェルネスよりも、家族を始めとした周囲に対するウェルネスを重要視する傾向が見られます。そして、全体的にウェルネスに関する関心は年齢が上がるとともに高まる傾向があり、50歳以上の消費者はウェルネス分野においてより重要な顧客であることが分かります。

コロナ禍においても、身体の健康を保つことはもちろん、物理的に外の世界と切り離された中で、今まで以上に人との繋がりなどの精神的充実を求める人が非常に増えました。

今後はこういった状況の中で、いかに人々の心と身体の健康を促進することに貢献し、豊かな人生を全角度からとらえられるかどうかが、企業やブランドに問われています。

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1-2 テクノロジー

新しいテクノロジーは私たちの生活に利便性やインスピレーションをもたらし、仕事や私生活を豊かにしています。一方で、プライバシーの侵害や個人情報の流出などの危険性とも常に隣り合わせであり、人々の緊張感の源になっているのも事実です。

調査の結果では、昨今注目を集める「AI テクノロジー」に関して、世界平均では 43%が「とても神経質になる」と回答した一方、日本人は 29%の回答結果となり、テクノロジーの発展に対して日本人はポジティブな意識を持っている傾向にあることがわかりました。しかし同時に、日本人の80%がサイバー攻撃の危険性を懸念しており、71%は企業に対して個人情報などのプライバシーに対して責任ある態度を示して欲しいと回答しています。

また、日本人の 44%がテクノロジーの使用によって人間関係が損なわれていると回答し、そのうちの 39%が、ソーシャルメディアによって、他者よりも自分の人生が劣っていると感じています。この価値観は、Gen Z 世代とミレニアル世代では 58%、Gen X 世代とベビーブーマー世代では 35%と、若年層になるほど高い傾向にあることも分かりました。

パンデミックによる働き方の変化や、サービス提供の新しい形の必要性なども後押しし、全ての業種でテクノロジーとどう付き合っていくのかは、今後更に重要な課題となっていくでしょう。企業は自社のビジネスにテクノロジーを有効に活用すると同時に、テクノロジーの懸念すべき面もしっかりと把握し、安全性や安心感を消費者に示していくことが求められています。

1-3 サステナビリティ

サステナビリティ(持続可能性)は昨今、私たちの生活でより身近になり、環境に良い生活を送ることへの努力は、世代や地域を超えて当たり前となりつつあります。日本語でのサステナビリティの検索回数も、昨年に比べ397%も増加していたという結果が出ました。

日本におけるサステナビリティへの意識調査では、日本人の79%が、「今の地球の扱い方が将来に大きな影響を与える」と回答し、これは世界平均とほぼ変わらない水準となりました。しかし一方で、「自分をエコフレンドリーだと考える」と回答したのは世界平均の81% に対し日本人は48%、「エコフレンドリーなブランドの製品のみ購入」と回答した人は世界平均で50% 、日本人は23%という結果となり、日本人の環境への意識と行動に大きなギャップがあることが明らかになりました。

世界的には、各地の都市のロックダウンにより大気汚染や海洋汚染が減少するなど環境へのプラスの効果があったことも受け、サステナビリティへの関心はより高まっています。今や海外の投資家たちは、環境や社会に対する企業の配慮を常に厳しくジャッジしています。そのため、国境を超えて世界に通用する事業を作るためには、サステナビリティを考慮に入れることが不可欠です。

今回の調査結果から見えた、環境のために生活態度や購買態度を変えるべきだと思っていても、便利さや手軽さなどを優先してしまうという日本の消費者の実情もふまえ、企業は今後消費者に、自分たちの事業が関わるサステナビリティについての重要性をどのように伝えていくのかが課題となるでしょう。

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1-4 リアリティ

リアリティ、つまりありのままを受け入れて尊重する・表現することは、昨今世界中の若い世代を中心に、非常に求められています。これは一時期のトレンドではなく、これからも持続していくものであり、企業やメディアの発信するメッセージにおいてのリアリティの必要性は日々高まっています。

ここで言うリアリティには、具体的に以下の3つの意味が含まれます。

  1. 表現のリアリティ:写真の表情などが過度に演出されたものでないことや、虚飾性がないものであること
  2. 被写体のリアリティ:写真に写っている人やもののバックグラウンドやアイデンティティが本物であること
  3. 製作者のリアリティ:写真の撮影者やイメージの製作者が、被写体と同じ立場やコミュニティ出身であること

調査によると、日本人の50%が、「多様性を尊重する必要がある」と回答し、61%が「企業はあらゆる体型やタイプの人を広告に起用する必要がある」と回答しています。また、世界中の64%が、「ダイバーシティやインクルージョン(包括・一体性)を訴える広告を見た後に、製品の購入を検討した・購入に至った」と答えており、多様性を重視した広告の株式は、44%増加したという結果も出ています。日本ではダイバーシティという言葉の検索回数は昨年から438%増加し、ゲッティイメージズ全体では、「アンレタッチ(レタッチ無し)」は昨年最も検索されたキーワードでした。

この結果は、企業は正確でリアルなビジュアルコミュニケーションに時間や労力をかける価値があることを明確に示しいます。消費者は、企業が多様性を認め、尊重するコミュニケーションを行っているかどうかを厳しく見ているのです。

2.企業が行うビジュアルコミュニケーション戦略のポイント

ビジュアルコミュニケーションとは、図や写真、映像等といった視覚情報によるコミュニケーションのことを言います。自社の事業のイメージや製品の価値を消費者に伝えようとする時、本当に伝えたいことを適切に伝えるためには、戦略的かつ効果的なビジュアルコミュニケーションを考えていく必要があります。

2-1 ビジュアルを通して伝えたいことを明確化する

私たちは日々、企業やブランドの広告やメディアが発信するイメージを無意識に受け取り、影響を受けながら過ごしています。消費者アンケートでも、日本人の60%が「商品の購入の際にイメージ図による情報を好む」と回答しています。

しかしほとんどの場合は、写真などのビジュアルイメージは文字情報と合わせて使用されています。そのため、自分たちが何らかのビジュアルを使用する際は、まずそれを見る人にどんな印象を伝えたいのか、言葉ではなく写真やイメージでしか表せないことは何なのかを具体化・明確化する必要があります。そして、選ぼうとしているイメージがそれに見合ったものなのかを冷静且つ客観的に精査することで、ビジュアルの効果を高めることができます。

実態を表しにくいテクノロジー関連の企業やニュースなどは、この考え方が当てはまる一つの例です。テクノロジーを表すビジュアルというとロボットやデータを操作している人といったSF映画に出てくるようなイメージを連想する人も多いと思いますが、今後はそういったありきたりな画像ではなく、自分たちの届けたい価値がより伝わるようなビジュアルを選ぶことで、他社との差別化を図ることができます。

また、より多くの消費者に受け入れられるためには、上記の世界の4大要因を参考にしたビジュアルの検討も有効でしょう。特にリアリティに関しては、自社の発信するイメージの虚飾性が強くなっていないか、多様性を暗に否定するようなビジュアルを使用していないかなど、一度立ち止まって考えることでリスクの回避や可能性の拡大につながるかもしれません。

2-2 ビジュアルによるイメージバイアスを更新していく

ある特定の種類のビジュアルが一つのキーワードに対して何度も使われることにより、言葉や概念のイメージを人々の頭の中で固定化させてしまっていることは多々あり、これを「イメージバイアス」と呼びます。このバイアスは様々な場面でのコミュニケーションを円滑化させるという側面を持つ一方で、時代が変わるにしたがって変化していくものごとの内実や本質を見えにくくする危険性も秘めています。

例えば、4大要因の一つ「サステナビリティ」は、日本においてその弊害を大きく受けているキーワードであると言えます。「サステナビリティ」や「環境問題」という言葉を表すために日本で長く使われてきたビジュアルは、北極の白くまや、破壊される熱帯雨林の写真などでした。実際この傾向は今でも続いており、これによって私たちは、環境問題は自分とは直接関係のない、遠くの場所で起こっているものだという認識に無意識に陥っているのではないでしょうか。今回の日本人のサステナビリティへの意識と行動のギャップのデータも、それを示唆していると言えるでしょう。

そのため、今後自分たちのサステナビリティを訴えていきたい企業やブランドは、消費者が環境問題などより身近に感じたり、具体的な行動に移すことを促すようなビジュアルに更新していく必要があります。

サステナビリティは一例で、間違ったイメージバイアスがかかってしまっている物事や概念はたくさんあります。ビジュアルコミュニケーションの際には、イメージは人々の心に何らかのバイアスを与え、結果それが行動にもつながっていくというところまで意識し、時代の流れと本質に合ったイメージを選択していくことが求められています。

まとめ

いかがだったでしょうか?2020年に求められている、消費行動に影響を与える4大要因と、ビジュアルコミュニケーション戦略のポイントについてお伝えしました。

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【参照サイト】Visual GPS

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