テレワークにこそ取り入れたいジェンダー平等な観点。実践事例とは?

テレワークにこそ取り入れたいジェンダー平等な観点。実践事例とは?

男女の賃金格差、セクハラ・モラハラ問題、政治・経済の女性率の低さなど日本は数多くのジェンダー問題を抱えています。日本を含め世界的ムーブメントとなった#Me Too運動(セクハラ発言、性暴力の被害体験をSNSにアップする運動)など、世界中でジェンダーハラスメントのない男女平等社会の実現に向け、さまざまな活動がおこなわれています。今回は、テレワークにこそ取り入れたい「ジェンダー平等の観点」から、性別にとらわれず働きやすい環境づくりのアイデアをご紹介していきます。

目次

1. 企業でのジェンダー問題の実情とは?

ジェンダーハラスメントとは

ジェンダーハラスメントとは、男性のくせに、女性のくせに、といった性別による固定観念に基づいた差別のことです。職場での例を挙げると、「女性だからお茶汲みをするべき」「男性だから力仕事をするべき」といった、男性らしさや女性らしさを求めることがジェンダーハラスメントにあたります。また「女性なのに、家庭を優先しないの?」「男性だったら、泣き言を言うな」など、性別による差別発言もジェンダーハラスメントに該当し、異性間と同性間のどちらでもおこります。

会社内でジェンダー問題が発生していると、従業員にとって働きにくい環境となり、生産性が落ちてしまうなど、さまざまな問題を引き起こします。日本政府はジェンダー平等を実現するため「男女共同参画社会」を掲げていますが、世界経済フォーラムが発表した2020年のジェンダーギャップ指数(男女の社会的・文化的な格差の比較)によると、149カ国中121位と日本は低い順位となっています。このことから、日本は世界と比べてジェンダー平等社会の実現が遅れていることがわかります。

国連 持続可能な開発目標(SDGs) 目標5:ジェンダー平等を実現しよう

2015年に定められたSDGs(持続可能な開発目標)の「目標5: ジェンダー平等を実現しよう」でも「あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。」「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。」などがターゲットとして挙げられており、ジェンダー平等な社会の実現が世界規模で求められています。

テレワークにこそ必要なダイバーシティ

テレワークの普及をはじめ、働き方が多様化している今こそ、ジェンダー問題と関連性の高いダイバーシティについて考えることが必要になってきます。ダイバーシティとは、日本語で「多様性」を意味します。特に企業経営を行っていく上では、性別や人種だけではなく、職歴、学歴、宗教などにとらわれず多様な人材を積極的に登用し、組織の競争力を高めようという考え方が浸透してきています。

企業が積極的にダイバーシティを推進することで、性別や人種にとらわれず、採用の幅を広げることができ、優秀な人材確保につながるほか、多種多様な人材が集まることで物事を多角的にとらえることが可能となります。その結果、マーケティングや商品開発など、様々な分野において多様化している顧客ニーズに対応しやすくなります。場所と時間にとらわれない働き方(テレワークやフレックスタイム制)を推進するだけではなく、同時にダイバーシティを推進することが変化の激しい市場で生き残っていく鍵になるかもしれません。

2. 性別に縛られず働きやすい職場づくりの事例をご紹介

ジェンダー問題の実情を踏まえ、性別に縛られない働きやすい環境づくりの参考となる事例をご紹介していきます。

2-1. AIで公平な採用活動を実現するクラウドサービス

AIを用いることで、採用担当者の先入観や個人的な好みではなく、データに基づいた採用活動が行えるクラウドサービスです。採用応募者の適性や能力、採用の優先順位などを自動で判断してくれます。また、パーソナリティー診断、オンライン面接、企業文化への適性検査などもオンライン上で実施することができます。

2-2. 仕事で使う何気ないツールもジェンダーニュートラルに

Appleのスマートフォン向けOS「iOS」のバージョン13.2以降で使用できる、ノンバイナリー(男性や女性といった従来の性別に当てはまらない)の絵文字です。仕事で使うツールをジェンダーニュートラルにすることで、性別に縛られない働きやすい環境作りの第一歩になるかもしれません。

2-3. 職場ハラスメント告発のためのブロックチェーン活用

職場でのパワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメント被害を記録し、告発できるプラットフォームです。他の従業員が自分と同じ被害を相手から受けている場合、それを知らせてくれる機能もあります。会社に導入することで、従業員から会社へ直接不満が寄せられることになります。その結果、従業員の不満が社会に漏れてしまうことを未然に防ぎ、会社の社会的信用を守ることにつながります。

3. 事例から学ぶ、ジェンダー平等推進のためのポイント

ここまでご紹介してきた企業でのジェンダー問題の実情や、性別にとらわれずに働きやすい環境作りの事例などを踏まえて、テレワークでも実践できるジェンダー平等推進のためのポイントをご紹介していきます。

3-1. ツールや仕組みでジェンダーニュートラルを目指す

ジェンダー平等推進のためには、テレワークの際にオンライン上で使っているツールにノンバイナリー(男性や女性といった従来の性別に当てはまらない)なものを追加したり、AIを活用したクラウドサービスによる採用活動を取り入れたりと、性別による不平等や差別が生まれない仕組みづくりを行うことが大切になります。

また採用活動だけではなく、社内の評価制度も「男性だから、女性だから」といった理由で判断するのではなく、仕事の実績を基準とすべきです。その評価に基づき、賃金や仕事の内容を決定するなど、性別による差別・格差が生まれない仕組みづくりが必要になってくるでしょう。

3-2. 悩みへのサポートを充実させ、ハラスメントをなくす

働きやすい環境は従業員の生産性向上のために欠かせないという点から考えても、ハラスメントが起きない職場づくりは必須です。職場でのハラスメントをなくすためには、上記でご紹介したブロックチェーンのようなテクノロジーを活用したプラットフォームを取り入れるなど、従業員がハラスメント被害を告発しやすい環境作りが必要となります。

また、取り入れやすいアイデアも重要な一方で、「ハラスメントや差別に関する悩みを打ち明けやすい環境づくり」も大事です。テレワークにより、以前より増して同僚や上司への相談がしにくく従業員の心理的負担が増加しているケースもあります。カウンセラーやハラスメント窓口を社内に設置することで、職場ハラスメントを防止し、悩みを打ち明けやすい環境を整えることで、多様な人材にとって働きやすい職場づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

3-3. ラベリングにとらわれないダイバーシティを受け入れる土壌づくり

差別や偏見がなく働きやすい企業を目指すためには、性別だけではなく「国籍、学歴、宗教、性的指向」などのラベリングにとらわれず、ダイバーシティを意識した人材活用が鍵となってきます。ダイバーシティを意識することで、多様な人材が互いの違いを受け入れあい、活かし合う企業の風土がうまれます。それにより、従業員が互いの強みを活かし合う環境が生まれ、生産性やクリエイティビティの向上が期待できます。競争の激しいビジネス市場において、多様な人材が集まった企業にしか生み出せないアイデアが企業価値を高めていきます。

また、テレワークが推進されている今、従業員一人ひとりの事情を理解し、それぞれに合った働き方を推進していくことが求められています。多様な働き方に対応していくなかで、ラベリングにとらわれない、強みを活かす人材活用が必要となってきます。働き方や人材の「こうあるべき」という既成概念を見つめ直し、ダイバーシティ経営の視点に基づいた働きやすい環境づくりを通じて企業価値を向上させていくことが、これからの企業に求められるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。テレワークを活かした働き方を考えるうえで、ジェンダー平等の推進は切り離せない課題になりそうです。様々な先行事例がある中で、自社ならではの強みや特徴を活かしたジェンダー平等の観点を取り入れた企業づくりの方法を考えてみてはいかがでしょうか。

04. 課題解決へ、取り組み方を考えるBDLのワークショップとは?

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【参照サイト】男女共同参画局 男女共同参画社会とは
【参照サイト】世界経済フォーラム 報告書『Mind the 100 Year Gap』
【参照サイト】グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 持続可能な開発目標(SDGs) 目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

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