脱炭素化で進む再エネのメリット・デメリットとは?国内外の先進事例を紹介

脱炭素化で進む再エネのメリット・デメリットとは?国内外の先進事例を紹介

※2021年2月更新
脱炭素化の流れが日本でも急速に進み始めています。2020年7月には石油で作られたプラスチックのレジ袋の有料化が始まり、10月には菅首相の所信表明演説に、脱炭素・カーボンニュートラルというキーワードがありました。

2015年12月に開催されたパリ協定では、「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも2℃高い水準を十分下回るものに抑えつつ、1.5℃高い水準までに制限するための努力を継続すること」が掲げられ、世界各国でも、地球温暖化の要因となる炭素の排出を防ぐための取り組みが行われています。

今回は、脱炭素化の文脈で注目されている再生可能エネルギーの長所と短所、世界の再生可能エネルギーの先進事例、そして再生可能エネルギーの導入を検討する際に考えたいポイントについてご紹介していきます。

目次

1. ESG投資で進む脱炭素化

世界中でESG投資(環境、社会、ガバナンスの要素も考慮した投資)が広がりを見せています。「2018 GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW」によると、日本は2016年時点から2年間で、4倍以上もESG投資が広がっています。また、日本のみならずアメリカやヨーロッパなども、ESG投資がすすんでいます。今後さらに広がっていくと予測されているESG投資は、環境に配慮している企業を後押しする形となりますので、必然的に脱炭素化の未来へと繋がっていくでしょう。

自然エネルギー財団が発表した「石炭火力発電から撤退する世界の動きと日本」によると、海外の銀行の多くが「石炭・化石燃料関連事業」からのダイベストメント(投資撤収)を決定しています。例を挙げると、新規直接融資の禁止を決定した銀行には「ナティキス(仏)、KBC(ベルギー)、ドイツ銀行(独)」などが挙げられ、新規融資停止、融資徹底を発表している銀行の数は増え続けています。また、こうした流れは銀行のみならず、公的基金・自治体、保険業界にも広がっています。

2. 再生可能エネルギーのメリット・デメリット

脱炭素化への動きが加速している一方で、CO2を排出しない、地球に優しい再生可能エネルギーの存在が大きくなっています。再生可能エネルギーを活用していくことは、環境に配慮しながらも自国の電力自給率向上にもつながりますので、大きなメリットがあります。一方で、再生可能エネルギーのデメリットにも目を向けておくことが重要です。一般的に、再生可能エネルギーのメリット・デメリットは以下が挙げられます。

太陽光発電

メリット : 日射量さえ確保すれば設置場所を選ばず、屋根や壁に設置することができるので、導入が比較的容易です。また、電気を自社で生み出すことができるので、電気代の節約になり、余剰分は売電することも可能となります。その他にも、災害などによる停電時でも電気を確保できるというメリットがあります。

デメリット : 天候の影響をうけるため、安定性に欠けます。また、設置に費用がかかり、定期的なメンテナンスが必要となります。地域によって異なりますが、出力制御(発電量が増加し、電気の供給量が需要を上回った場合、電力会社が制御すること)が起こる可能性があります。出力制御が起こってしまうと、電力を売買できなくなることも考えられます。

風力発電

メリット : 他の再生可能エネルギーと比べてコストが抑えられ、風さえあれば夜間でも発電が可能です。また、エネルギーの変換効率が高いというメリットがあります。

デメリット : 風力発電に必要な風車を設置できる大幅なスペースが必要です。また、騒音や影のちらつきなどの影響が考えられるため、住宅街には設置することは難しいでしょう。渡り鳥などの障害物と衝突するリスクもあります。また、風向きや風速によって発電量が異なり、安定性に欠けるというデメリットがあります。

バイオマス発電

メリット : 生ゴミや廃材など、捨てるものを資源として発電する環境にやさしい発電方法です。燃料があれば発電することができるので、安定性があります。

デメリット : 発電効率が低く、発電するためにコストがかかります。設置にも高額な費用が必要となります。

水力発電

メリット : 海や河川を利用するので、コストパフォーマンスが高いです。太陽光発電や風力発電に比べて天候に左右されにくいです。また、エネルギー変換効率が非常に高いというメリットがあります。

デメリット : 発電施設を設置できる場所が限られます。加えて、定期的なメンテナンスが必要となります。水を利用してエネルギーを生み出すので、水の利用に関する利害関係により、法的手続きが煩雑になる可能性があります。

地熱発電

メリット : 1日中発電することができ、コストパフォーマンスが高いです。蒸気を再利用して発電することも可能で、環境にやさしい方法です。

デメリット : 初期費用が高く、導入するためにまずは土地が発電に向いているかなどの調査が必要です。また、発電効率は比較的低めです。

再生可能エネルギーは、環境に配慮しているという点から注目を集めていますが、現段階では発電場所の制限や発電効率などの問題もあり、再生可能エネルギーのみで必要エネルギーの全てを賄うことは難しいといえるでしょう。

3. 再エネのこれからを握る世界のユニークな事例

再生可能エネルギーのメリットやデメリットを踏まえた上で、ここからは先進的・独創的な再生可能エネルギーのアイデアをご紹介します。

デザインで発電効率を上げるソーラーパネル

イギリス政府主導で、大規模なソーラー発電場と超高速EV(電気自動車)充電ステーションのネットワークが建設されています。天候に左右されてしまう再生可能エネルギーの発電を効率的にすること、電気自動車を普及することがプロジェクトの目的となっています。

この発電場のソーラーパネルの設計は合理的で、ソーラーパネルは両面パネル、太陽の反射光からも発電できる二層構造、太陽の動きに合わせて向きを変えるトラッキングシステムなどの工夫がされています。クリーンエネルギーは、気候によって左右されるので安定性に欠けるというデメリットがありますが、このプロジェクトはデメリットに対して、効果的にアプローチしている事例です。

雨粒の摩擦で発電

中国・蘇州大学のZhen Wen氏などの技術者によって発表された「太陽電池」は、雨の日でも発電できる画期的なアイデアとなっています。既存の太陽光発電の仕組みに、摩擦によって発電する装置を取り付け、雨の雫の動きで発電することを可能にしました。太陽光発電は、雨の日の発電量が制限されるというデメリットがありましたが、このアイデアは太陽光発電のデメリットを解消するものとなっています。

都市に吹く「風」で風力発電を

英ランカスター大学の学生2人が、都市を吹き抜ける風をエネルギーに効率よく変えるタービン「O-wind」を開発し、2018年にジェームズダイソンアワード(国際的な学生デザインコンテスト)を受賞しました。「O-wind」は、形状が球体になっており、あらゆる角度から吹いてくる強いビル風を効率的にキャッチできるようにデザインされています。これまでの風力発電とはデザインやアイデアが異なる「O-wind」は、画期的な発電装置として期待が高まっています。

林業の廃棄物をバイオ燃料に

フィンランド技術研究センターが、樹皮やおがくずなどの林業廃棄物を、輸送用燃料や化学物質に変える新技術を開発しました。この技術では、ガス化プロセスを利用しており、林業の廃棄物からできたバイオマスエネルギーを、液体炭化水素やメタノール、メタンなどの化学物質に変換します。そして、製油所でさらに加工され、約55%が輸送用燃料に、20%~25%が地域暖房や工業プロセスの蒸気生成に使われるそうです。林業廃棄物をバイオ燃料に変え、エネルギーを生み出すプロセスは、林業が盛んなフィンランドに適している方法だといえるでしょう。

下水汚泥からもエネルギー回収

南米チリの首都「サンティアゴ」にある3つの廃水処理施設が、汚水をクリーンエネルギーに変換する「バイオファクトリー」に生まれ変わらせるプロジェクトを行っています。このプロジェクトを立ち上げたチリ最大の水道会社Aguas Andinas社は、サーキュラーエコノミーモデルを使って、廃水処理プロセスからゴミや化石エネルギー、汚染物質を取り除くことを試みました。下水汚泥からのエネルギー回収によって49GWhの電力、177GWhの天然ガス、および84GWhの熱エネルギーが生産され、13万7,000トンの下水汚泥が農地肥料として利用されています。

下水処理場の水と汚泥をクリーンエネルギーに変える、一石二鳥の取り組みから、新しく取り入れるのではなく今あるものを活用することの大切さを学ぶことができます。

4. アイデアを実現するポイント

4章では、ここまでご紹介してきたESG投資で進む脱炭素化の未来や再生可能エネルギーのメリット・デメリット、世界のユニークな事例を踏まえて、アイデアを実現するポイントについてご紹介していきます。

脱炭素化を目指すために、自社の温室効果ガスの排出量を知る

脱炭素化を目指すためには、自社のCO2を含む温室効果ガスの排出量を知ることが何よりも大事になります。また、温室効果ガスの排出量を把握するとともに、企業活動を行うために、必要なエネルギー排出量も把握しましょう。これにより、現段階でどの程度温室効果ガスを削減することが可能なのか知ることができます。そして現実的に脱炭素化を目指すための温室効果ガスの削減方法を考えることができるでしょう。

再エネのデメリットがどのくらい影響があるのかを知る

地球温暖化の防止につながる再生可能エネルギーに移行していくことは、企業の生存戦略を考える上でも重要な要素です。再生可能エネルギーを活用することは、良い側面が多くありますが、デメリットも存在します。再生可能エネルギーのデメリットを理解した上で、そのデメリットがどの程度何に影響するのかを知る必要があります。例えば、風力発電のタービン衝突による鳥の死亡事故は、窓の衝突による死亡事故と比べて0.04%程度にとどまります。もちろん鳥への配慮は必要ですが、デメリット・メリットの度合いを正しく把握しておくことが重要です。

前提として断熱や熱効率を上げることが重要

企業のみならず、国や公共機関などが、積極的に再生可能エネルギーを活用しています。再生可能エネルギーを活用することは、社会的信用を得るだけではなく、持続可能的にエネルギーを確保できるメリットがあります。ただ、まずは再生可能エネルギーの導入だけでなく、いかに使うエネルギーの熱効率をよくするかを考え、断熱を検討することが重要です。

いかがでしたでしょうか。脱炭素化していく未来のために、再生可能エネルギーを活用するという観点は重要になりそうです。様々な先行事例がある中で、自社ならではの強みや特徴を活かした再生エネルギーを取り入れた企業づくりの方法を考えてみてはいかがでしょうか。

5. 再生可能エネルギーの事例をもっと調べるには?

本サイトを運営するIDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、「Turn Ideas into Actions(アイデアを形に変える)」をコンセプトに、会員の方向けに(登録無料)SDGs・サステナビリティ・CSV・サーキュラーエコノミー関連プロジェクトの企画立案・立上・運営までをサポートしております。IDEAS FOR GOODならではの豊富な国内外の事例を活用し、御社の強みを生かした事業づくりについて考えてみませんか?IDEAS FOR GOODチームとの共創プロジェクトも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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