脱炭素化で進む再生可能エネルギーのメリット・デメリットとは?企業が導入を検討する際のポイントも解説

脱炭素化で進む再生可能エネルギーのメリット・デメリットとは?企業が導入を検討する際のポイントも解説

※2022年6月更新
脱炭素化に向けた鍵を握るとされる、再生可能エネルギーへのシフト。世界的にその動きは加速しており、日本でも2030年までに再生可能エネルギーの割合を現在の18%近くから36〜38%まで引き上げることを目指しています。(※)

グローバル企業の動きに目を向けると、グーグルは2017年から自社の電力を100%再生可能エネルギーで賄っており、アップルも2030年までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指すと発表しています。また、RE100(再生可能エネルギー100%化にコミットする企業)の加盟数は、世界では360社以上、そのうち日本企業は65社にのぼり、世界第2位となっています。

年々深刻化する気候変動による影響を緩和するため、国境や規模を超えた連携が加速しています。

今回は、そんな再生可能エネルギーをめぐる世界の潮流や現段階での長所と短所を踏まえたうえで、企業が再生可能エネルギーの導入を検討する際に踏まえておきたいポイントについて解説していきます。

第6次エネルギー基本計画素案(経済産業省)

目次

1. 再生可能エネルギーをめぐる世界の潮流

再生可能エネルギーの導入量は世界中で急速に増加しており、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、2011年から2020年にかけてその数は2倍近くとなっています(※2)

さらに、2018年に自然エネルギー財団が発表した「石炭火力発電から撤退する世界の動きと日本」によると、海外の銀行の多くが「石炭・化石燃料関連事業」からのダイベストメント(投資撤収)を決定しています。たとえば、ナティキス(仏)、KBC(ベルギー)、ドイツ銀行(独)といった銀行は石炭・化石燃料関連事業への新規直接融資の禁止を決定しました。現在もそういった方針を取ると発表している銀行の数は増え続けており、こうした流れは公的基金・自治体、保険業界にも広がっています。

再生可能エネルギーを活用するメリットは、脱炭素の観点以外に、自国のエネルギー自給率を引き上げられる部分にもあります。特に、エネルギー自給率が13%程度と先進国の中では非常に低い日本は、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを拡大させていくことで、化石燃料の輸入に頼る比率を減らすことができ、国内のエネルギー需要をより安全に満たしていけるようになると期待されています。また、小規模・分散型の再生可能エネルギーは、エネルギーが生産された地域で消費される、「エネルギーの地産地消」を実現しやすいため、地域経済の活性化につながる場合もあります。

※2 Insights on Renewables(IRENA)

2. 再生可能エネルギーの長所と短所

ここからは、再生可能エネルギーの現段階での長所と短所を挙げていきます。

太陽光発電

メリット

  • 太陽の光には限りがないため、基本的にエネルギー源が無尽蔵
  • 既存の建築物の屋根や壁に設置することができ、設置工事も比較的簡単
  • 電気代の節約や追加の収入が得られる可能性も
  • 災害による停電時の電源としても機能

デメリット

  • 一般的な太陽光パネルは雨天時には発電できないため、電力の安定性確保には蓄電池との併用が基本的には必要
  • 大量の電気を作るためには広大な土地が必要となり、国土の小さい日本のような国では設置場所に限界がある
  • 一部の地域では太陽光パネルを設置するために森林伐採が行われ、土砂災害や生態系の破壊を引き起こしている
  • 太陽光パネルのリサイクルの難しさ

風力発電

メリット

  • 風さえあれば夜間でも発電が可能
  • エネルギー変換効率が一般的なもので20〜40%、最大60%と、全ての発電方法の中でも比較的高い
  • 洋上風力発電は強い風が安定して吹く環境を活用でき、陸上と比較してスペースの確保も容易

デメリット

  • 風向きや風速によって発電量が左右されるため、供給の安定性に欠ける
  • 陸上風力発電の場合は風車を設置できる広大なスペースが必要となり、近隣地域への騒音被害なども考慮すると、設置場所が限られる
  • 現段階では企業や個人が個別で導入することは難しい(自宅やオフィスに導入できる新しい形状の風力発電機も開発され始めてはいる)
  • 風車への落雷事故発生
  • 風力タービンに鳥が衝突して亡くなるバードストライク

水力発電

メリット

  • 太陽光発電や風力発電と比較して、発電量が天候に左右されにくい
  • エネルギー変換効率が約80%と、再生可能エネルギーの中では非常に高い
  • 「小水力発電」は、新たにダムを造る必要がないため環境への負荷やコストを最小限に抑えて始めることができ、地域で作った電力を地域で消費する「エネルギーの地産地消」も実現できる

デメリット

  • 大規模な水力発電所の建設には高額な費用がかかるため、初期投資の回収期間が長くなる
  • 水の利用に関する利害関係により、発電施設を設置できる場所が限られたり、法的手続きが煩雑になったりする可能性がある
  • 大規模な発電所建設は地域の生態系へ影響を与える

バイオマス発電

メリット

  • 生ごみや廃材など、さまざまな廃棄物を資源として有効活用することができる
  • 燃料さえ確保できれば天候にかかわらず安定的に発電することができる
  • 地域産業として根付くことで地域の雇用創出につなげられる可能性がある

デメリット

  • 資源となる廃棄物の収集や運搬、利用されるまでの管理に手間やコストがかかる
  • 食料となる有機物をバイオ燃料にしようすると、食糧競合が起こる可能性がある
  • バイオ燃料生産のために森林を伐採し、耕地とする動きが拡大する危険性

地熱発電

メリット

  • 天候に関わらず発電することができる
  • 蒸気を再利用して発電することも可能

デメリット

  • 地殻変動が激しい地域でのみ可能な発電方法
  • 開発に伴うリスクの検証、地域の理解などが必要となるため、開発から発電所の稼働に至るまでに長い期間を要する

水素発電

メリット

  • 水素燃料自体は燃やした際にCO2などの有害物質をほとんど排出しない
  • 水素は多様な資源から生成できる
  • 水素は液化することで輸送や貯蔵が可能となり、余剰エネルギーの貯蔵や運搬に使うことができる

デメリット

  • 水素燃料の生成、また燃料の保存や輸送には現状大きな手間やコストがかかる
  • 水素燃料を石油や天然ガスから産出する、もしくは他の再生可能エネルギーで水を分解して生成する必要がある
  • 化石燃料から生成された水素は生成の際にCO2を排出するため、再生可能エネルギーとはいえない(※)
  • 水素には着火から燃焼までのスピードが早く高温で燃えるという性質があり、安全性の確保が課題

※ 生成の際に排出されたCO2を吸収し、貯蔵、利用する技術「CCU」「CCUS」などを使った水素を「ブルー水素」と呼び、近年この技術の開発も進められています。なお、太陽光発電や風力発電の余剰電力を使って生成された水素は「グリーン水素」と呼ばれ、一切CO2を排出しないため、脱炭素のためには最も効果的な方法とされています。

アンモニア発電

メリット

  • 基本的には既存の火力発電設備を使用することができるため、比較的低コストで導入することができる
  • 水素と同じく燃焼時には二酸化炭素を排出しない
  • 水素と比べて液化した際の貯蔵や運搬が容易であり、現在も広く使用されているため扱い方が確立されている(※)

※ アンモニアの原料となる水素の生成時に「CCU」「CCUS」技術を用いたアンモニアは「ブルーアンモニア」と呼ばれ、再生可能エネルギーを用いて作られた水素で作られたアンモニアは「グリーンアンモニア」と呼ばれます。

デメリット

  • 現在アンモニアを作るときに一般的に用いられている、「ハーバー・ボッシュ法」は、大量のCO2を排出する
  • 水と空気からアンモニアを作る方法なども研究開発されているが、実用化のためには更なる研究開発が必要
  • 発電時に酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOX)が排出されてしまう
  • アンモニアの生産拡大及び海外から調達するためのサプライチェーン構築が必要

〜番外編〜原子力発電は再生可能エネルギー?

2022年2月、欧州委員会の持続可能な経済活動を分類し投資を促進する制度「EUタクソノミー」において、CO2を排出しない原子力発電を「クリーンエネルギー」に正式に分類するとの発表がありました。これについてはEUのなかでも各国で意見が分かれており、世界中で「脱炭素vs脱原発」の議論は今後も行われていくでしょう。脱炭素を目指しつつ現在の経済活動を安定的に維持するためには原子力発電が必要不可欠とする意見も多い一方、福島のような万が一の事故のリスクや、核の廃棄物の処理など解決が難しい問題が多いことも事実です。世界的に見てもその使用量が今後大きく拡大していく予定にある原子力発電は、より安全な発電方法の研究開発や導入が必要とされています。

4. 再生可能エネルギー導入の際に押さえておくべきポイント

ここからは、それぞれの再生可能エネルギーの長所と短所を押さえたうえで、企業で再生可能エネルギー導入を検討する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

社会的インパクトも考慮して再生可能エネルギー事業者を選定する

再生可能エネルギーを中心に扱う事業者のなかには、電気代の一部を環境や社会貢献活動に回している企業も多く、電気を使うことで間接的に社会にとってプラスの価値を生み出せるかもしれません。

たとえば、「顔の見える電力」をコンセプトとする電力会社「みんな電力」では、再生可能エネルギー100%の電源を使用できるだけではなく、電気料金の一部が地域や産業の創生に取り組む発電者に届き、再生可能エネルギーの発展などにつながっています。

同じく再生可能エネルギー100%のプランを提供するハチドリ電力でも、国際協力から動物愛護まで多様な社会貢献活動を行う団体に電気代の一部を寄付しています。ほかにも、電力の契約者には、無料で社会の課題や生き方を学べる「ハチドリアカデミー」に参加することができるなどの特典もあります。

【関連記事】新電力は持続可能で「三方よし」なのか?みんな電力に学ぶ【ウェルビーイング特集 #3 脱炭素】
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再生可能エネルギー関連の補助金や助成金、Jクレジット制度について知る

政府は企業が再生可能エネルギーに切り替えることを推奨しており、特に太陽光発電の導入に関しては、さまざまな補助金が用意されています(※3)

また、「Jクレジット制度」の活用を検討してみるのも良いでしょう。J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量をカーボンクレジットとして国が認証する制度で、自社のカーボンニュートラル目標の達成やCSR活動のためにJ-クレジットを購入する事業者が増えています。

さらに、各自治体が再生可能エネルギーへの切り替えキャンペーンを行なっている場合もありますので、自社が拠点を置く地域の自治体からの情報もこまめにチェックすると良いでしょう。場合によっては導入に際して何らかの特典がついてきたり、導入コスト自体を抑えられる場合があります。

※3 再生可能エネルギー事業支援ガイドブック(令和3年度版)

RE100やRE Actionへの加盟を検討してみる

大手企業のサステナビリティ・CSR担当者であれば、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブRE100への加盟を検討したり、どんな企業が加盟しているのか確認してみてはいかがでしょうか。

また、昨今では大手企業がそのサプライチェーンにある中小企業にも再生可能エネルギーへの切り替えを求める流れが加速しているため、中小事業者は再生可能エネルギー100%利用を促進する枠組み再エネ100宣言(RE Action)に加盟することをおすすめします。加盟すると、再生可能エネルギー導入情報の収集を支援してもらえたり、参加団体間の交流を目的としたウェブコンソーシアムへ参加できたりするなどの特典が得られるため、より企業のサステナブル転換が促進されるかもしれません。

いかがでしたでしょうか。再生可能エネルギーへの切り替えというと電気代が高くなるイメージがあるかもしれませんが、最適な事業者を選べば逆に今よりも電気代を抑えられる可能性もあります。さらに、再生可能エネルギーの利用を通して、自治体や地元住民との関係構築、地域経済の活性化や雇用の促進などをが生まれる可能性もあります。

カーボンクレジットでつながる地域と企業。北海道下川町の森林中心のまちづくりとは

再生可能エネルギーへの切り替えを自社にとってプラスになるものとして捉え、前向きに進めていけると良いですね。

5. 再生可能エネルギーの事例をもっと調べるには?

本サイトを運営するIDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、「Turn Ideas into Actions(アイデアを形に変える)」をコンセプトに、会員の方向けに(登録無料)SDGs・サステナビリティ・CSV・サーキュラーエコノミー関連プロジェクトの企画立案・立上・運営までをサポートしております。IDEAS FOR GOODならではの豊富な国内外の事例を活用し、御社の強みを生かした事業づくりについて考えてみませんか?IDEAS FOR GOODチームとの共創プロジェクトも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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