サステナブルな取り組みを社内に浸透させるには?社内事業担当者のためのノウハウ初級編から上級編まで
環境に高い負荷をかけて大量消費・大量生産をする時代は終わり、多くの企業が環境にとって、自社にとって、持続可能なビジネスのあり方を模索するようになりました。近年話題になっているCSVの考え方も、「サステナブルな取り組みを本業とは別枠でやるのではなく、事業自体をサステナブルにしていく」という潮流を受けたものです。新たな事業の戦略を考えるときに、環境負荷の低い方向へと舵を切る企業も少なくないのではないでしょうか。
環境負荷に関しては、消費者の目も従来より厳しくなっており、環境や社会に十分な配慮がなされているということは、商品それ自体の魅力を考える上での一つの指標となりつつあります。またそのように、消費者の目が厳しくなっていることから、企業が透明化できていない情報があると信用低下につながり、結果としてSNSなどで批判されるリスクもあります。近年、大手企業や海外企業が取り組む「サステナブル施策」は、それぞれの企業のステータスとなっている側面もあり、さらに「廃棄物」に注目することでコスト削減のチャンスが生まれるなど、現実的なアドバンテージも存在します。
一方で、事業がサステナブルな方向へ向かったときに、社員がそれについてこられるかどうかは別の問題です。サステナビリティを謳っているものの、企業や社員一人一人の活動に実態がともなっていないと、グリーンウォッシュ・SDGsウォッシュなどにもつながりかねません。社員がサステナビリティを自分ゴト化し、コツを掴んだり、実感を得たりすることも、事業を展開する上では重要です。自らが実際にアクションする中で課題がわかると、より現実的な立案をすることにも役立ちます。
それでは、サステナビリティを社員に自分ゴト化してもらうためには、どのような取り組みを行えば良いのでしょうか?ポイントを解説します。
目次
- 1.【初級編】サステナビリティについて学ぶ
- 2.【中級編】サステナビリティを実践する
- 3.【上級編】サステナビリティの新しいスタンダードをつくる
- 4.サステナブルな取り組みを開始する・実践する際のお手伝い
1.【初級編】サステナビリティについて学ぶ
1-1.サステナビリティ勉強会の実施
「サステナビリティ」という言葉や考え方が社内でまったく浸透していないと感じる場合、まずは社員の皆さんに「サステナビリティとは何か」「サステナビリティがなぜいま問題になるのか」を知ってもらうために、勉強会を実施するのがおすすめです。「サステナビリティ」とはもともと、物事の「持続可能性」、つまり「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」を指します。
「将来の世代のニーズを満たす」ために限りある地球資源を守ることも重要ですが、一方で「今日の世代のニーズを満たす」と定義されていることからもわかるように、自分たちの暮らしを否定し、我慢し、無理を強いる概念ではありません。どのように自分たちのウェルビーイングを実現しながら、将来の世代のために資源を保全・再生していくのか。それこそがサステナビリティの主要なテーマとなります。「これはダメ」「あれもダメ」と否定的なことばかりだと疲れてしまうため、視点を広く、海外の先進事例なども交えて学べると良いでしょう。
また、自然環境のサステナビリティだけでなく、近年では私たち一人一人が「持続可能な」生活をするという意味で、「人」のサステナビリティにも注目が集まっています。業務で心身ともに激しく消耗して、休日は眠るだけ、という生活はサステナブルであるとは言えません。環境をサステナブルにするのと同時に、社員の皆さん自身がどのようにサステナブルでいられるかを話し合うのも良いかもしれません。
いずれのテーマを選択するにしろ、勉強会は講演だけではなく、ワークショップ形式で行うのがおすすめです。一人一人がアクションを持続していくためには、知識をインプットするだけではなく、自分の生活に落とし込むことを想像するまでが、勉強会の範疇であるためです。「この行為は意外とサステナブル?」「国内外のサステナブル面白事例をリサーチ」など回ごとにテーマを設定するのも面白いかもしれません。
2.【中級編】サステナビリティを実践する
2-1.会社でできるサステナブルプロジェクト
「サステナビリティ」という言葉が一定程度社内で周知されるようになったら、次は皆さんで実践するフェーズです。サステナビリティは会社全体のビジョンや戦略としてトップダウンで進めることも重要ですが、本当の意味でサステナビリティを推進するためには、社員一人一人が日々の生活や仕事の中で意識を持ち、小さなことからボトムアップで取り組んでいくことも重要です。そこで、社内でできることをいくつかご紹介します。
持ちものをサステナブルに
まずは、毎日買っている人もいるであろうペットボトルやテイクアウトの飲料についてです。コンビニで飲み物を頻繁に買ったり、会社で紙コップを使ったりしていませんか?マイボトルは毎日の洗浄が面倒に思うこともあるかもしれませんが、保温保冷機能があり、机に水滴もつかないなど利点も多く、ぜひ利用したいところです。
「今日からマイボトルを使用してください」と呼びかけると、インパクトがなく忘れてしまう人もいるかもしれませんが、マイボトルを利用することで会社でコーヒーが飲める、(飲料が有料の場合は)割引があるなど、アドバンテージを設けると、社員の皆さんも取り入れやすいはずです。
また、ランチでお弁当を購入する場合は、必ずプラスチックを中心とするゴミが出てしまいます。会社のまわりの飲食店と協力してタッパーに弁当を入れてもらえるようにする、(社食がある場合は)使い捨てではない食器を使うようにするなど、会社から工夫できることを提案するのも手段です。
備品をサステナブルに
また、一人一人の持ち物だけではなく、会社の備品をサステナブルにするのも良いでしょう。実際にそれらを管理する総務の方だけではなく、より多くの人にアイデアを出してもらうと社内浸透に効果的です。
例えば、名刺。紙媒体の名刺が本当に必要なのかということ自体が問われている中ではありますが、完全廃止はなかなかできないのが現状です。そこで、再生紙、バナナペーパーなど、なるべく環境負荷の低い素材を使うという手段があります。取引先との挨拶の際に会話が生まれれば、社員の皆さんは自分自身の口で説明することになります。そうすることで、サステナブルな取り組みがより強く認知されていくでしょう。
他にも白紙に印刷する必要のない書類は裏紙を使う、冷水機の横に紙コップは設置しないことでマイカップ導入を推進する、オフィスで昼食お弁当やデリバリーをとっている場合はなるべくプラスチックが使われていないものにする・個包装を避けるなど、の工夫が考えられます。
2-2.家でできるサステナブルプロジェクト
社内でできることもたくさんありますが、新型コロナをきっかけに在宅勤務を導入した企業も多いのではないでしょうか。家のことまで社内で管理できないと思うかもしれませんが、「サステナビリティに取り組む会社」と銘打つためには、在宅勤務中でも社員の労働環境に気を配る必要があります。家で取り組めることはさまざまですが、ここでは誰もにとって身近なゴミ問題についてフォーカスします。
アンケートをとって時系列にそって現状共有
まずはゴミについて、現状を把握すべくアンケートを取ってみましょう。他の家庭のゴミの事情を知る機会はあまりないため、データを収集し、共有するだけでも気付きがあるかもしれません。そこからチームごともしくは会社全体で削減目標を設定します。週ごとにチーム別の削減量を記録していくと、ゴミを削減するモチベーションにもつながるでしょう。
テクニックを共有
ゴミを減らすプロジェクトをチームでやることの面白さは、他の人とノウハウを共有できることにあります。「テイクアウトをするとき、近所の飲食店にタッパーを持って行ってお願いしたら入れてもらえた」「豆乳をよく飲むから紙パックを減らすべく、豆乳メーカーを買った」など実体験に基づく共有は、その体験をした人の顔が見えるだけになおさら興味深いものです。社員同士が業務のこと以外でコミュニケーションをとる機会にもなるでしょう。
3.【上級編】サステナビリティの新しいスタンダードをつくる
3-1.メディアで取り組みを発信する
社員の皆さんが社内・自宅で取り組んだサステナブルなアクションは自社のホームページや他のメディア媒体で発信すると、アクション自体が広がっていくのと同時に、外部への活動のアピールにもなります。
また、社員個人の体験がメディアで発信される機会はなかなかないため、会社のホームページに掲載するということで「自分のアクションが評価された」「あの人がやっていた取り組みを自分もやってみよう!」など、エンゲージメントを高める作用も見込めます。
3-2.他企業との情報交換・連携
メディアでのシェアが成功すれば、他企業から声がかかることもあるでしょう。サステナブルなアクションそれ自体がコンテンツになる上、「そうしたアクションを自社でもやりたい」「知見を自社の取り組みに活かしたい」と思う人が出てくるはずです。
サステナブルな取り組みを持続するには、個々人の思考や行動が肝であるため、仲間を増やすほど経験談が増え、知見も広がります。サステナブルな取り組みが一つの軸となり、他の領域の企業と新たなコラボがうまれる可能性も出てきます。
4.サステナブルな取り組みを開始する・実践する際のお手伝い
上記にサステナブルな取り組みのヒントを記しましたが、すべての企業に有効な施策はないため、ワークショップなども社員さんの特性に合わせてカスタマイズする必要があります。IDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、ワークショップや施策のノウハウについての選択肢を複数提示し、御社に合わせたプランで提供することができます。
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