【2020年最新版】食品業界必見!サーキュラーエコノミーの実践事例

【2020年最新版】食品業界必見!サーキュラーエコノミーの実践事例

フードロス、食糧危機、農業人口の減少など様々な問題を抱える食の分野。これらの問題に食品業界はどのように取り組めばいいのでしょうか。今回は、「サーキュラーエコノミー」を切り口に、国内・海外で取り組まれている食品業界のビジネスアイデアを紹介します。

目次

1. 食品業界が抱える問題とサーキュラーエコノミー

1-1 食品業界が抱える問題

今回は食品業界が抱える問題としていくつかある中から、サーキュラーエコノミーが解決できる余地の大きい問題である、食品廃棄・食料自給リスク・プラスチック包装の3点をまとめました。

食品廃棄

世界では、食料生産量の1/3にあたる約13億トンの食料が毎年廃棄されており、日本では食料消費全体の3割にあたる2,759万トンが廃棄されています。さらに、日本で売れ残りの期限を超えた食品・食べ残しなどの食品廃棄は日本国内で643万トンと言われており、このうちの約55%がメーカーや飲食店などの企業によるもので、45%が家庭から排出されています。

企業が引き起こす食品廃棄の大きな原因として、90年代以降から浸透している商慣習「3分の1ルール」があります。日本では製造日から賞味期限の間の期間のうち、1/3以内に小売りに卸し、1/3以内に小売は消費者に販売できなければ賞味期限が残っていても返品・廃棄処分になってしまうのです。食品の焼却処分により温室効果ガスを発生させ、食品を作るのに使われる水資源を無駄にしたり、生ごみの水分により焼却施設の発電効率低下を引き起こしたりといった、食品廃棄はさまざまな問題を引き起こします。

食料自給リスク

まだ食べられる食品が捨てられるという現状の一方で、世界情勢に左右され、輸入に頼る国々では食糧危機にさらされています。原油価格が高騰した2008年には穀物の価格が3倍にもなり、ハイチやカメルーンをはじめとした途上国では暴動が起きました。新型コロナウィルス感染症等のパンデミックではサプライチェーンが分断されることもあり、輸入に頼りすぎることで食糧確保リスクが高まります。

食料自給率が40%あまりの日本も他人事ではなく、輸入による二酸化炭素排出(カーボンフットプリント)を抑えるためにも、いかに日本国内の自給率を高めるかが課題です。

プラスチック包装

また、食品業界の抱える問題としてプラスチック包装の削減の難しさも挙げられます。年間4億トン生産されるプラスチックのうち包装容器が占める割合は約36%。環境保護のため脱プラスチックが謳われるようになり、2020年7月から小売店によるビニール袋有料化となりますが、食品メーカーによるプラスチック包装の削減は実現が難しいのが現状です。その理由の一つとして、軽量かつ酸化を防止でき、臭いも遮断できるなどのプラスチック包装の利点を十分に補完するアイデアや代替品がほとんどないことがあげられます。

1-2 食品業界とサーキュラーエコノミー

今回ご紹介する「サーキュラーエコノミー」とは、廃棄対象とされていたモノを、「資源」として活用する仕組みです。食品に置き換えると、廃棄予定・または廃棄された食品を他のモノとして活かすということです。欧州では2030年までに4.5兆米ドルまでサーキュラーエコノミーの市場規模が膨らむと予測されており、多くの国が国家政策の軸としています。日本でも「第四次循環型社会形成推進基本計画」が2018年に閣議決定されるなど、注目が集まっています。

食品廃棄物の問題はどの国や都市にとっても廃棄物総量のうち多くを占めており、ヨーロッパを中心に国家政策としてのサーキュラーエコノミー戦略の中で食品廃棄について言及しています。例えば、EUでは欧州グリーンディールの柱の一つに食糧システムの変革を掲げており、「Farm to Fork 戦略(農場から食卓まで)」として、次の目標を提示しています。

  • 手頃な価格かつ健康的で、持続可能な食にアクセスできること
  • 気候変動に向けた取り組みを行うこと
  • 環境保全・生物多様性に取り組むこと
  • サプライチェーンへの適正な経済的リターン
  • 有機農法の拡大

他にも、アムステルダム市の「サーキュラーエコノミー2020-2025戦略」で3重点分野の一つに「食品と有機物」が掲げられており、「フードバリューチェーンを短くする」「2030年までに食品廃棄を半減」「動物性たんぱく質から植物性たんぱく質への移行」などが明記されていたり、ロンドン市のサーキュラーエコノミー政策「Towards a circular economy」でも5つの注力分野の一つに「食品」を掲げていたりと、食品業界に対するサーキュラーエコノミーのアプローチに大きな期待がかかっていることが分かります。

廃棄される食品を資源として見出すことについては、多種多様な異業種との連携が必要であり、自治体や企業、非営利組織との対話が不可欠になります。次の章では食品業界において、どのような業種同士がパートナーを組み、サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルを生み出しているのか、事例を見ていきます。

2. 食品業界におけるサーキュラーエコノミー5選

2-1【レストラン×食品】廃棄食材を一流シェフの料理食材に。

オランダの大手スーパーから廃棄食品を仕入れ、一流シェフが調理して提供するレストランです。安価に調達ができるのでリーズナブルにおいしい食事ができると評判です。どんな食材が調達できるかシェフが予測できないからこそ、クリエイティビティが発揮され、一流レストランと評価されるのかもしれません。

2-2【農業×食品】やっかいもののアマモを海藻農法で肥料に。

横浜市金沢区では大量繁殖してしまったアマモを農業用の肥料として活用しています。塩分を抜いたアマモを肥料にする「海藻農法」は農作物の甘味を増し、除草の効果もあるといいます。この農法で作られた「金澤八味」の製品開発においては小学生も巻き込み、学びの機会も提供しています。

2-3【農業×食品】さとうきびストローを回収し、野菜の肥料へ

この仕組みでは使用済みのさとうきびストローが溜まったら回収し、牛糞の堆肥化にさとうきびストローが使われます。さとうきびストローは発酵促進効果も高く、分解されやすいので家畜農家にも助かっているとのこと。また、サーキュラーエコノミーの課題である「廃棄物の回収」を着実なものにしています。

2-4【自動車×食品】農業廃棄物を自動車の部品に。

自動車のダッシュボードやドアノブに農業廃棄物でできたバイオプラスチックが採用されています。バイオプラスチックは殺菌効果が高く、従来のプラスチック製品よりコストが40%抑えられ、二酸化炭素も20%近く削減できるので、農業廃棄物を使うメリットが大きいと言えます。

2-5 【流通×食品包装】耐久性のあるパッケージで何度も使う。

食品のパッケージは使用後に回収するプラットフォームを実現。パッケージにコストをかけていたメーカーは、Loopの活用で中身だけを販売できるようになるため、より機能性が高く何度も利用できるパッケージのR&Dに投資ができるようになり、結果的にはコスト削減が期待できます。

3. 食品業界がサーキュラーエコノミーに取り組む際のポイント

3章では、ここまで見てきたサーキュラーエコノミーの事例や、現在のサーキュラーエコノミーに対する議論を踏まえ、食品業界におけるサーキュラーエコノミーのポイントを整理します。

3-1 最上位の取り組みは「廃棄を減らすこと」。

廃棄食品の活用方法に関するアイデアを見てきましたが、最も大事なことは食品廃棄をどのように減らすかという点。AIなどのテクノロジーによる需給予測や法規制(フランスではスーパーの食品廃棄が禁止されている)といったアプローチなどもある一方で、食糧廃棄を減らすために効果的でシンプルな方法は「コミュニケーション」や「デザイン」であることも。例えば注文量が写真で分かるメニューや、店舗からお客さまに向けたちょっとした声掛けといった、ちょっとしたアイデアで廃棄を減らすことができます。

3-2 地産地消・ショートチェーンを目指す

食のサーキュラーエコノミーの基本は、生産者と消費者の距離を近づけること。両者の距離を近づけることで、生産者は消費者のニーズをより密に把握することができ、輸送のコストや環境負荷を抑えることができます。コーヒーやチョコレートなど、原産地が主な消費地と離れており、どうしてもサプライチェーンを短くできないケースもありますが、その場合もブロックチェーンを使ってサプライチェーンの透明性を確保するなど、お互いに顔が見える関係を構築することで生産者と消費者の距離を近づけることが可能です。

3-3 循環させる素材にも配慮が必要

食品など有機物は土に戻すことで循環ができるため、食品のサーキュラーエコノミーにおいては堆肥化(コンポスト)が一般的なモデルとして挙げられます。しかしコンポストする食材に化学肥料などが大量に使われていると、コンポストした土壌が窒素過多となり、窒素の循環が乱れてしまいます。食品のサーキュラーエコノミーを考える際は、食材自体が与える環境負荷についても配慮する必要があります。

3-4 パッケージの所有権を移動させない

使い捨てプラ包装を削減する方法として挙げられるのは、Loopの例のようにメーカーがパッケージの所有権を取り戻すこと。他にも量り売りのように、そもそもパッケージを消費者に渡さないことで使い捨てを減らす方法も。共通するのは、食品の購買においてパッケージの所有権が移動していないこと。日本には海外と比較しても詰め替えの習慣が浸透しており、こうした移行を実現しやすい価値観があります。

3-5 パートナーを巻き込んで食品の成分・効能を分析している

食品を誰かが口にする食品として見るのではなく、バイオプラスチックや堆肥化における効能に注目してみると、とても優秀な資源として活用できることが見えてきます。食品が持つ別の価値を発見するためにも、異業種や同業他社などでパートナーシップを結ぶことが大事になっています。

Business Design Labが開催するワークショップって?

いかがでしたでしょうか。食品業界の特性を生かし、他業種との連携や食品に関わる多くの人を巻き込んでいく必要がありそうです。様々な先行事例がある中で、自社ならではの強みを活かしたサーキュラーエコノミーを実践するための方法を考えてみませんか?

IDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、CSV事業開発・異業種ネットワーキングに役立つ会員限定のイベントをオンラインで毎月実施しています。さまざまなアイデアを事業開発としてどのように始めたらいいのか分からない、近い志を持った仲間を異業種や同業種で見つけたいという方におすすめです。

  • 世界のサステナビリティの動向トレンドが分かる
  • 毎回テーマごとに異なる専門家によるセッション
  • 異業種の仲間との交流会も実施

会員登録後、イベントページにお進みください

事業・ニーズに合わせた社内ワークショップもご相談受けつけております。お気軽にお問い合わせください。

【参照サイト】食品廃棄物とは?数字と事実・原因・解決策
【参照サイト】アムステルダム市が公表した「サーキュラーエコノミー2020-2025戦略」の要点とは?
【参照サイト】サーキュラーエコノミーは、コミュニティにも恩恵をもたらす。LWARB「Circular London」に学ぶ、循環型都市への道のり

※本記事の執筆にあたり、Business Design Labが提供する会員限定検索機能IDEAS Explorerを使用しています。

Leave your comment
Comment
Name
Email