冷凍保存でフードロスを解決!ロスパンに心を痛めたパン屋さんの挑戦

冷凍保存でフードロスを解決!ロスパンに心を痛めたパン屋さんの挑戦

皆さんの家の近くにはパン屋さんがあるだろうか?日頃お世話になるパン屋さんが抱える問題の中に、売れずに廃棄してしまう、いわゆる「ロスパン」の存在がある。パン屋さんでは、天候などの要因によって売れ行き予測が外れる以外にも、お客さんを喜ばせるため、夜遅い時間まで購入できるようパンを製造しているところもある。しかし、そうすると発生するのが「ロスパン」。このロスパンの存在は経済的な損失だけではなく、その作り手の胸を痛める要因となっている。

サンドイッチ店を営んでいた山下幸男(やました ゆきお)さんもそんなロスパンに心を痛めていた一人だ。山下さんは12年もの歳月をかけて、ロスパンをリベイク(再度焼くこと)してもふんわり食感のおいしいパンが食べられるよう、冷凍保存できる方法を研究し、開発した。そして今年、特許技術の事業化を手掛けるIP SHOWCASE 代表の納 公明(おさめ きみあき)さんのプロデュースでその冷凍保存技術を活用した「Tenderbuns (テンダーバンズ)」というリベイク専門ブランドを立ち上げた。

テンダーバンズのバーガー

「10ヶ月も冷凍保存が可能」で、電子レンジでリベイクしても美味しいという特許保存技術の目新しさと、ロスパンに心を痛めた元パン屋さんが開発した商品というストーリー性が話題を呼び、注目が高まっている。テンダーバンズの山下さんとIP SHOWCASEの納 公明さんにその開発秘話を聞いた。

食品廃棄の悩みを解決する技術の発明

テンダーバンズは現在、クラウドファンディングのMakuake(マクアケ)および公式のホームページを通じて、コロナ禍の自粛生活で外食の味を求める人や、添加物やイーストフードを避けたいヘルシー志向の人などニューノーマルの生活様式のなかで安心でおいしく楽しめる食を求める人々へ販売を行っている。

これまでその商品の魅力や、ストーリーを伝えるため、テンダーバンズではSNSの配信や、Makuake内の「活動レポート」で商品にまつわるストーリーや商品の進捗状況の発信、ホームページでの冷食グルメについてのブログなど、地道なPR活動を行ってきた。その結果、テンダーバンズ初の商品、「T.B.チーズバーガー」は現在2000食に迫る販売を遂げている。

Q. 山下さんが営んでいたサンドイッチ専門店ではどのくらい「ロスパン」があったのでしょうか?

山下さん:様々なお客さんを喜ばせたいと、私のお店では常に25種類のサンドイッチを陳列させていました。しかし、種類が多いのでどうしても1日の終わりにはおよそ50個ほど廃棄してしまっていました。

Q. この技術を発明するにあたり、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

山下さん:ある客足が遠のいた雨の日、いつもより多いサンドイッチの廃棄量を目の前にして、とてつもない空虚感を感じたのです。それが「どうにかしなければ」という強い思いにいたるきっかけとなりました。

こうして、ロスパンに悩まされていた山下さんは、余らせてしまったパンを冷凍保存し、電子レンジで温めるだけで焼きたてのような仕上がりになる技術を発明しました。

問題を知ってもらうためには、まずは興味を持ってもらうことから

Q. なぜロスパンを長期冷凍保存することが解決策になるだろうと考えついたのでしょうか?

山下さん:冷凍保存にすることで、常温だと日持ちしない売れ残り商品の消費期限を延ばせるので、廃棄される可能性は格段に下がりますよね。もし技術によって美味しく食べられる期間を延ばすことができれば、フードロスの削減だけではなく、人々を喜ばせられるポイントになるだろうと思ったのです。

Q. いくつもの種類が世の中にあるパンのなかから、テンダーバンズブランドの初の商品に「チーズバーガー」を選んだ理由はありますか?

山下さん:いくら「フードロス問題」の解決に貢献すると言っても、この問題を意識して商品の購入してくれる人はまだ少ないと思いました。そこで、多くの人が家に持っている電子レンジでの焼き直しができ、老若男女問わず人気のあるメニューにしました。そうすることでまずは「美味しそう」と興味を持ってもらおうと考えました。興味を持たれたら、その背景にあるストーリーに理解を深めてもらい、この商品がきっかけとなって「フードロス問題」への意識が高まってくれれば、そう思っていました。

手軽に、そして食べてみたいと思える商品を作ることで、身近な食の課題にも目を向けてもらいたいというのが山下さんの願いだ。

身近に出来る社会問題解決策に

Q. 現在の購入者からはどのような反応がありますか?

納さん:10ヶ月も保存ができるのに電子レンジで温めるだけでおいしいことに驚いたという声が一番多いです。また、市販の冷凍バーガーはパンをトースターで焼き、パティはフライパンやグリルで焼くなどと具材をそれぞれ調理することが一般的で、手間と時間がかかってしまいます。けれども、ご自宅で調理をされるお客様からは、テンダーバンズは添加物が入っていないのに簡単に美味しく食べられてとても便利というお声をいただいています。

Q. 今後のリベイク専門ブランド「テンダーバンズ」はどのような計画がありますか?

納さん:発明された特許技術はハンバーガー以外にも様々なパン製品への応用が期待できるため、多くのパン工場との技術提携を通じてフードロス問題解決に貢献していきたいと思っています。ただし、まずはこの「T.B.チーズバーガー」が消費者に響く魅力的な商品であり続けられるように商品自体の魅力を高め、購入にとって身近な社会問題解決策の1つに結び付けられることを目指していきたいと思います。

写真左:開発者 山下幸男 さん 写真右:IP SHOWCASE代表 納 公明さん
写真左:開発者 山下幸男 さん 写真右:IP SHOWCASE代表 納 公明さん

編集後記

老若男女問わず人気なアイテムを通じてフードロス問題を知ってもらおうと開発された「TBチーズバーガー」。実利だけでではないその商品の魅力を知れば、より一層美味しく感じられることだろう。「フードロス問題」について知ってはいたけど何もできていなかったという人は、この商品を常備することから取り組んでみてはいかがだろうか。

【参照サイト】テンダーバンズ公式ホームページ
【参照サイト】極旨チーズバーガーの時間をとめる!いつでも焼きたての美味しさ。(マクアケページ)
【参照サイト】IP SHOWCASE

Edited by Momoko Takita

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事となります。

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