「プラスチック新法」「脱炭素」「生物多様性」……2022年のサーキュラーエコノミー5つの注目点とは?
新型コロナウイルス流行の影響が続いた2021年。サステナビリティを重視した経済復興策「グリーンリカバリー」と並行して、2050年を目標とした脱炭素化を見据えた気候変動対策としてのサーキュラーエコノミーへの注目度はさらに高まりました。
2021年に日本版ウェブサイトがオープンした循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」や、2022年に施行されるプラスチック資源循環促進法(いわゆる「プラ新法」)など、サーキュラーエコノミー化の加速を予感させるトピックが特に注目を集めました。2022年、サーキュラーエコノミーは日本で、世界で、どのように展開するのでしょうか。注目点を5つ、挙げてみました。
1. サーキュラーエコノミー×脱炭素
気候変動対策としての脱炭素化が世界的に進行する中で、いくつかの国が自国のNDC(国が決定する貢献)達成を含めた国としての気候変動対策にサーキュラーエコノミーの推進を組み込み始めています。2022年にはこうした動きが、他の国々にもさらに広がる可能性があります。
また、気候変動対策として再生可能エネルギーが一段と拡大するにつれて、太陽光発電パネルや風力発電タービンといった再エネ発電機器のサーキュラー化への動きも顕著になってきました。再エネ推進は脱炭素化のカギを握りますが、発電時のCO2排出削減だけではなく、ライフサイクル全体での削減につながっているか注目すべきでしょう。
2. サーキュラーエコノミー×生物多様性
サーキュラーエコノミーの実現が生物多様性の再生にもつながる可能性が論じられ、自然環境を現場とする農林水産業などを中心としたさまざまな取り組みが企業の間で広がった2021年。さらに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の自然資本版ともいえるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組み設定に向けた議論も加速していることを一例として、生物多様性におけるグローバルな取り組みも加速。
今後こうした動きがさらに広がるのか、 サーキュラーエコノミーがネイチャーポジティブ(生物多様性の保全に留まらず、2030年までに回復軌道に乗せることを重視する考え方)にどのように貢献できるのか――。2022年の新たな注目テーマです。
3. サーキュラーエコノミー×プラスチック
2021年記事ランキングにも登場したプラスチック新法。プラスチックの製造から再利用までのライフサイクルにおける費用負担の問題(誰が、どの主体が、どの部分で発生するコストをどう負担するのか)をはじめ、具体的な運用が始まるとともに生じるであろう課題にどのように対応していくべきか、すべてのステークホルダーによる知恵と協働が試されます。
4. サーキュラーエコノミー×デジタル
サーキュラーエコノミーが経済システムを変革する可能性のある存在として注目されるようになったのは、デジタル化の発展なくしてはありえなかったと考えられます。AIやデジタルツイン、3Dプリンターなど新たなデジタル技術をどうサーキュラーエコノミーに融合していくか。この成否がサーキュラーエコノミーに移行できるかどうかの鍵を握ります。サーキュラーエコノミーの要諦でもある資源利用量の削減や組織の垣根を超えた共創の実現に寄与するツールとして、注目度も重要度もさらに高まることでしょう。
5. サーキュラーエコノミ―×SDGs
SDGsが日本社会に浸透するにつれて、SDGsへの貢献とうたう取り組みが果たして本当にSDGsの解決につながっているのか問い直す機運が高まっています。同じことがサーキュラーエコノミ―についても言えるため、いわゆる「サーキュラーウォッシュ」ではない本質的なサーキュラーエコノミーのあり方であるかどうかが、企業にも地域にも問われるのではないかと思われます。
いかがでしたか?2022年、サーキュラーエコノミーはその概念を知ろうとするWHATのフェーズから、どのように具体的に社会の中で実装していくかというHOWのフェーズに移行していくと私たちは捉えています。上記のトピックを中心に、今後も国内外のサーキュラーエコノミー動向に注視していきたいところです。
※本記事は、ハーチ株式会社が運営するCircular Economy Hubの記事を一部転載したものです。
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